アプローチ漏れ防止に必要なリードソースごとのデータ可視化
筆者はPDCAの不足がアプローチ漏れの大きな要因であると考えています。実際、事業責任者やCOOに対して、「リードからの商談化率」を尋ねるとほぼ全員が難なく回答することができます。一方で、「資料請求とホワイトペーパーのそれぞれの商談化率」を尋ねると回答できなくなる方が一定数は見受けられます。
また、ホワイトペーパーリードの中でも請求した資料の種類によって商談化率は異なるものです。これは検索広告リードでも同様で、検索したワードの種類によって商談化率は変動します。それにも関わらず、これらの数字をマネージャーが把握して投資判断に活用できている企業や、現場のインサイドセールスが把握して商談訴求の文言を使い分けられている企業は多くありません。なぜこの様なもったいない事象が起きてしまうのでしょうか?
理由の1つとしてマーケターのKPIがリード獲得になっており、商談まで成果責任を負っていないことが考えられます。オーリーズが2023年に実施した調査では、マーケターのKPIで最も多いのはリード単価で、商談単価や受注単価まで追えている企業は少なくなっていることがわかります。すると結果として、マーケターにとって、営業のデータと統合して施策ごとの商談化率を分析するインセンティブはどうしても働きにくくなってしまうのです。

オーリーズ調査
海外とは体制が異なる日本が4つの罠を回避するには?
今回は「90秒アプローチ」ができていない、「追客不足」で全員接続できていない、「アプローチ漏れ」による機会損失、「PDCAの不足」で改善が進まないといったインバウンド商談の取りこぼしにつながる4つの罠について解説してきました。
これらの多くは、マーケティングとインサイドセールスが連携しなければ解決できない課題です。海外では、インサイドセールス(特にインバウンドリードを担当するSDR)の組織はマーケティング部内にあることが多く、密な連携が取られている印象があります。しかし、日本ではインサイドセールスが営業部内にあるためこの連携がうまく行っていない組織が多いようです。
日本の営業・マーケティング組織が連携不足の課題に対策するには、そしてインバウンド商談からの受注を伸ばすためにはどうしたら良いのでしょうか? 連載最終回となる次回では、4つの罠にハマらずにインバウンド商談を増やす具体的な方法を解説します。