ファン層と施策の成果を可視化 海外展開や施策改善に活用
MZ:海外市場を分析する際には、Meltwaterのツールがどのように役に立っているのでしょうか。
高澤:一番はファン層の可視化です。たとえば、当社が制作している『ガールズバンドクライ』などでは、過去のオーディエンスのセグメントと放送開始後のセグメントを比較して、ファン層がどのように拡大したのかを可視化しています。

『ガールズバンドクライ』における分析結果の一部で、放送前、1話放送後、13話放送後でのユーザー層の違いを示した図。放送前まではアニメニュースを追っているユーザーが多かったが、放送後は二次創作界隈のユーザーやアニメ・マンガ好きユーザーへの広がりが見られた
高澤:その他、国内のファン層と海外のファン層を比較し、重なる属性、異なる属性のそれぞれを把握できるため、マーケティング戦略の糸口を探る上では非常に有効なツールだと感じています。
MZ:Meltwater導入後により得られた具体的な成果もお聞かせください。
高澤:まず、「施策の成果を数値化して共有」できるようになったのは非常に大きな点です。得られた学びを次の作品の宣伝施策に活かす動きも見られるようになりました。
また、毎月の読み解き会によりレポート作成を内製化したことで、コスト削減にもつながっています。外部に依頼すると膨大なコストがかかると思いますし、内製化によって市場分析のリードタイムも1~2週間で済んでいます。ツール利用を定着させる観点でもプレミアムサポートの導入を決めたのは正解でした。
ソーシャルリスニングでファン視点のマーケティング実現へ
MZ:今後の展開についてもお聞かせください。
高澤:現在、シリーズ作品では発話量について前作と比較することで目標となる数を設定し、それに向けた施策立案を行っています。今後はこの取り組みをより強化していきたいです。
XやInstagramでアニメの感想を投稿する方には作品への熱量が高いファンの方が多いので、そうした方々の意見から盛り上がるポイントをキャッチアップするのはファン視点で的確にマーケティングを推進することにつながります。これはソーシャルリスニング抜きでは実現できないでしょう。日本・海外問わず、ファンの反応をしっかり把握し、グローバルでより大きな市場を獲得できるように注力してきたいですね。
鈴木:流行になる前の潜在的なマジョリティの意見を発掘していきたいです。これはSNSの分析を通じてしかできないことだと思います。いち早く彼らを見つけてアプローチをすることで、話題化した際に当社が先行者利益を獲得することにもつながるでしょう。
テレビアニメも今では視聴率だけでは評価できません。そうした意味では、IPの価値判断の一つとしてUGCがどれくらい展開されているかを指標にして映画化やグッズ化を判断できるようにもしていきたいと思います。
山﨑:ソーシャルリスニングにおいて正確に分析するために意識すべきはSNSの上のノイズを除去することであり、それを相談できるパートナーが不可欠です。当社としては引き続きMeltwaterで得られるインサイトを通じ、東映アニメーションのグローバル化推進のお手伝いをしていきたいです。