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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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【特集】令和時代のシニアマーケティング

日本ロレアルCCO・花王「サクセス」ブランドマネージャーが語るシニア世代へのアプローチと顧客体験

 20204年10月30日オースタンス主催のシニアマーケットカンファレンス「Aging Energy Conference2024」が行われる。本稿ではイベント開催に先立ち、事前収録された日本ロレアルと花王の登壇セッション「顧客ロイヤリティ向上が鍵〜美容業界の現在と未来」の内容をレポートしたい。日本ロレアル・チーフコンシューマーオフィサーの前田ジェームス氏がブランドにおける顧客との関わり方やシニア世代に特化した取り組みを、花王のヘアケア第1事業部ブランドマネジャー林 裕也氏が、男性市場におけるニーズの変化に対応する方法や、顧客接点の最適化を紹介する。

本記事は「Aging Energy Conference2024」の事前収録セッションをレポートしたものです。同一の内容がイベントでも配信されます。なお、本記事は10月30日まで無料でご覧いただけます。

シニアで括らない、日本ロレアル4つのブーマーセグメント

 シニア向けマーケティングの支援を行うオースタンスのクライアントは、5~6年ほど前まで健康食品や介護施設などシニアだけをターゲットに絞った企業が中心だった。しかし、この1~2年で状況が変わっているという。日本の2人に1人が50歳以上の今、シニアへの解像度を上げる必要性を感じる企業からの問い合わせが増えているそうだ。

株式会社オースタンス 代表取締役社長 菊川 諒人氏
株式会社オースタンス 代表取締役社長 菊川 諒人氏

 本講演では、美容の分野においてシニア世代へのアプローチを行っている日本ロレアルと花王「サクセス」の取り組みをオースタンス代表の菊川氏が探っていく。講演冒頭、菊川氏はシニア世代に対しどのような戦略を持ち、解像度をいかに高めているかを両社に尋ねた。

 日本ロレアルは、数年前からシニア世代を重視してきた。特に、百貨店を中心に展開するコスメブランド「ヘレナ ルビンスタイン」と「ランコム」、ドラッグストアなどで展開するヘアカラーブランド「ロレアルパリ エクセランス」をシニア向けブランドと位置づけている。

日本ロレアル株式会社 経営戦略・マーケティング開発本部 チーフコンシューマーオフィサー 前田 ジェームス氏
日本ロレアル株式会社 経営戦略・マーケティング開発本部 チーフコンシューマーオフィサー 前田 ジェームス氏

 高齢化が進む日本において、市場規模が大きく美への関心も非常に高いシニア層は戦略的に重要なセグメントになっているという。しかし、これまで同社ではシニアを大きく1つのセグメントで捉えてきた側面があった。そこでシニアの解像度を上げるためにリサーチを行い、美への関心の高低と保守的/外交的の2軸でセグメンテーションを実施。セグメントごとに価値観やライフスタイル、使用しているブランドや触れているメディアを整理した。

 「私達はシニア世代をブーマーとお呼びしていますが、どのセグメントの方がどのような習慣を持っていらっしゃるかなどを深堀りすることで正確なマーケティング活動につながっていると感じます」(前田氏)

 たとえば、美への関心が高く積極的な「トレンディーブーマー」と、美への意識を持ち自身で情報を収集し納得して使用したい「知的・洗練ブーマー」では、美容情報の入手経路が異なることがわかった。トレンディーブーマーは、美容部員や雑誌から情報を得ている率が高い。一方で、知的・洗練ブーマーは@cosmeやAmazonといったサイトの口コミやYoutubeなど、実際に使用したユーザーのコメントを確認する傾向が見られる。それぞれ違うアプローチでマーケティングする必要性がここからもわかる。

ブランドパーパスを再定義したサクセス

 花王のサクセスは1987年に誕生。育毛トニックの提供をきっかけに薄毛対策やケアをポジティブなイメージに変え、若者でも使いやすくするなど市場をけん引してきた。他にもニオイなど男性の悩みに応え、カテゴリーを拡張しながら成長してきた。

花王株式会社 ヘアケア第1事業部 ブランドマネジャー 林 裕也氏
花王株式会社 ヘアケア第1事業部 ブランドマネジャー 林 裕也氏

 幅広いユーザー層を抱えるサクセスは、若返りを目的に2020年にブランドをリステージ。パッケージの刷新やコミュニケーションの変更を試みた。すると、既存ユーザーの離脱が発生してしまったという。そこで、単にブランドを若返らせるだけではなく誰もが手に取りやすい状態にするべく、2021年より新たに取り組みを始めている。

 ブランドパーパスを「今もこれからも自分に納得ができて、誰もが明るい未来を描ける社会にしていく」と定めた。男性の清潔感を叶える身だしなみ提案を行い、爽快・リフレッシュというイメージを蓄積していたところから、頭皮ケアというブランドの強みに改めて注目。髪と頭皮の元気が前を向くチカラをブランドのコアの価値に設定。「男らしさ」「薄毛へのタブー」といった従来の固定観念から将来への不安を抱きやすい状況や、自分のありたい姿が曖昧になりやすい状況を変える商品とコミュニケーションを展開する方針を定めた。結果、50代以上のユーザーが戻ってきたことが数値面からも現れたという。

 「サクセスが元に戻ってきたと感じていただけたと思います」(林氏)


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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/25 12:40 https://markezine.jp/article/detail/47266

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