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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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成果につながるリサーチ

「それ意味ないですよ」も伝える。アサヒビールの消費者インサイト室長に聞く、リサーチ活用の極意

他のチームや顧客の気持ちを捉えるための工夫

━━事業目的や各カテゴリーがやりたいことを理解するため、ほかのチームとのコミュニケーションで心掛けていることはありますか?

画像を説明するテキストなくても可

 私のチームメンバーに対しては当たり前のことですが、「他のチームと積極的にコミュニケーションしてほしい」と伝えています。打ち合わせがあるから会話する、と言うのではなく、普段から雑談含めて会話をしてほしい、と。なぜなら会話のなかから「今、考えていること」や、今何が注目なのかも教えてもらえるからです。働き方が多様化する中で、相手チームにそのチームにリモート業務の方が多いのであればチャットに入ってみる、出社が多いチームならばリアルで会話する、そんな感じで積極的に情報を取りに行くことを勧めています。

━━一般に、メーカーは直接顧客とやり取りができる流通小売とは違い、消費者の方に直接調査することは難しい面があると思います。アサヒビールではどのような消費者接点を重視し、どのようにデータ収集を行っているのでしょうか?

 コンセプトフェーズなのか商品フェーズかでも変わってくるのですが、一貫して言えるのは実在する「N=1」の声を大切にしていることです。そのためデプスインタビューからインサイトを得ることを重要視していますし、可能であれば開発中から評価をしてもらうこともあります。

 商品が市場に出た後も同様です。発売後のトラッキング分析も行いますし、特定製品のファンの方であればその理由をデプスインタビューで伺うこともあります。将来的にはアサヒビールのファンの方と定常的につながって調査パネルとしてご協力いただけるような仕組みも作れると良いかもしれませんね。

━━定量データの集め方では何か工夫はありますか?

 データを蓄積するうえで一貫性が大事ですが、設問の仕方にも工夫が必要です。たとえば「この商品はどれくらい売れそうなのか」を調査する時、「どれくらいリピートすると思いますか」と聞いてもまず答えは出てきません。もし月1回という回答がいただけたとしても、その月1回という回答が確からしいかは、疑った方が良いかもしれません。その人の習慣を思い浮かべた上で回答を促さないと、その人の実態に即した回答になっていない可能性があるからです。

 こういう場合、もしその人が週2~3缶飲んでいる人であれば、「週2〜3回のうち、どれくらいの頻度であればこの商品に差し替えてもいいでしょうか」と聞いてみると、「月3回くらいかな」と答えていただけたりします。その回答者に応じた設問の工夫が必要ですね。最初にデザインすることが大事だと思います。

マーケティングプロセス全体での消費者インサイト活用に挑戦

━━消費者インサイト室の業務のやりがいを教えてください。

画像を説明するテキストなくても可

 マーケティング本部全体の商品開発の仕事に関わること、そしてそのプロセス改革を進めていくことが私たちの仕事なのですが、改革に携わっていることですね。それを受け入れていただくマーケティング本部の皆さんも、駄目なものは駄目とはっきり言ってくださいますし、良いことは受け入れていただくという建設的なディスカッションができています。そして改革が進んで変わり成長していくことが感じられるこのプロセスがとても楽しいです。

━━最後に、今後の目標や取り組みたいことについてもお聞かせください。

 これまでリサーチ活用のプロセスを社内で作ってきましたが、商品開発フェーズまではある程度できてきたと考えています。ただマーケティング全体で言うと、4Pという言葉がある通り、プロダクトだけでなく、プライシングやプロモーション、プレイスの観点でも消費者インサイトやリサーチの活用によって改善できる余地がまだ当然あります。マーケティングの広い範囲に私たちがどのように関わっていけるのか、これまでの調査を他のPに適用できないか、様々な展開を考えていきたいです。

━━ありがとうございました。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47314

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