機能は減らさず、利用シーンに合わせたUIに
――続いて、リニューアルの内容についてレモンタルトの川島さんにうかがいます。まず、リニューアルはどのようなステップで行ったのでしょうか。
川島:まず、ためタカ!を利用している方、利用していない方それぞれにアンケートとインタビューを行いました。日常と観戦という2つのシーンがある中で、現在利用している方はどのように利用しているのか、また利用していない方は何が課題になっているのかを調べ、アプリに対するニーズを探りました。
そして、調査結果をもとにこれまでの動線や機能から必要・不必要なものを整理し、より良いUI/UXに落とし込んでいきました。
――リニューアル内容についてはいかがでしょうか。
山下:調査をすれば使われてない機能が出てくると思ったんですが、意外とどの機能も使われていて、実はリニューアル前から機能は減らしてないんです。それよりも、よくある利用シーンを特定し、その流れに合わせて機能の階層構造を整理したり、ユーザーがすぐ使いたい機能をタブやトップで表示したりしました。
川島:たとえば、ポイントをためる群をTOPページ内で1つにまとめたのはもちろん、タブに関しても最も即時性の求められる会員証を中央に配置し、球場で使える機能を観戦タブにまとめるなどの見直しを行いました。
――タブにはバッジ機能も表示されていますね。人気の機能ということでしょうか。
山下:バッジ機能はレモンタルト様とのリニューアルで新たに追加した機能です。起動日数や来場試合数はもちろん、春季キャンプへの参加、みずほPayPayドーム横BOSS E・ZO FUKUOKAの利用など、様々なところでバッジを獲得できるため、アプリを利用するモチベーションの一つになっています。
最近では鷹祭 SUMMER BOOST meets 天神夏まつりとコラボレーションしたスタンプラリーも実施するなど、エンターテインメント性を作りながらアプリの起動につなげています。
パフォーマンス向上と起動のきっかけ作りでアクティブ率を向上
――リニューアルを行う中で、特に意識していたことはありますか。
井手:技術的な観点では、いつでもスムーズに開けて、快適に使えるパフォーマンスを担保するところから実装しました。電波状況が悪くても会員証はすぐ出せる、アクセスが急増する場面でも使えるなど、ユーザーが不快に感じないように開発を行いました。
また、拡張性とパフォーマンスを重視し、基盤をゼロベースで設計をしなおすことで、様々な機能が球場でも展開できるようにリニューアルを行いました。
山下:観戦体験の中で楽しめるアプリの使い方は何かを意識してリニューアルに取り組めました。以前は球場でポイントを貯めるだけにアプリを開くだけでしたが、今は試合予想クイズやスタジアムガチャなど、観戦しながら楽しめる機能が提供できています。試合予想クイズに関しては、ポイント獲得機能に次ぐアプリ起動のきっかけになっています。
川島:試合予想クイズは、野球知識に関わらず楽しめるよう、得点数などわかりやすいものを対象とした来場者限定の企画です。毎月予想対象を変えているので、定期的に来場する方も違う楽しみ方ができるようになっています。
――他に意識していたことはありますか。
山下:アクティブ率をいかに高めていくかについても重視していました。リニューアル前からためタカ!のインストール数自体は伸びていて、球場で告知をすれば一定の新規ユーザーは獲得できていました。しかし、DAUやMAUを見ると想定よりも増加率が低く、開くきっかけが少ない状態でした。
しかし、リニューアルを通じてバッジ機能の実装や日々のゲーム機能の見直し、トップ画面への選手ポスター配置など、試合が無い日でもアプリを開く楽しみを作ってきました。
山下:リニューアルを通じ、「日常」と「観戦」のどのような時も楽しんでいただける体験を新機能で設けることで、1日でも多くアプリを開いていただく工夫を実装できていると感じています。