メール到達率を高めるための具体的な対応策
──では、到達率を高めるためにはどうすればいいのでしょうか?
まずは、ガイドラインに準拠した認証設定を行いましょう。その上で、受信者が本当に求めているメールを送るようにする、という点も重要です。その際は「どんな内容のメールを送るか」だけでなく、「誰に送るか」も押さえるべきポイントです。
メールアドレスの登録時点では高かった興味関心も、時間の経過とともに薄れるものです。メールを読まなくなったユーザーに送り続けていては、メールボックスプロバイダから「望まれないメールを送信している送信者」と判断され、到達率が低下する可能性があります。登録者をつなぎとめたい気持ちはわかりますが、「送らない」選択も必要です。
──具体的な対応策について教えてください。
メール受信者のライフサイクルに沿った対処が効果的です。ここでは「新規ユーザー」と「非アクティブユーザー・退会候補」の2ステージに分けて説明します。
まず新規ユーザーに対しては、メールアドレスの取得時に「ダブルオプトイン」を導入することを強くお勧めします。これは、登録フォームでメールアドレスを入力後、確認メールのリンクをクリックすることで登録を完了させる方法で、ユーザーの明確な意思確認と存在しないアドレスの排除につながります。
ダブルオプトインは、「スパムトラップ」の混入防止においても有効です。スパムトラップとは、メールボックスプロバイダが悪質な送信者を見つけるために設置した罠のメールアドレスのことです。
スパムトラップにメールを送り続けると、悪質な送信者とみなされてブラックリスト入りし、場合によってはほぼすべてのメールが届かなくなります。実際に「ブラックリストに入ってしまった」というお客様の対応にあたりましたが、その後の対処はかなり大変でした。
「読まない人には送らない」という決断も必要
──では、非アクティブユーザーや退会候補のユーザーには、どのような対処をすべきでしょうか?
大きく分けて、3つの対処法があります。
配信停止方法をわかりやすくする
まずは、配信停止リンクや案内をわかりやすくしましょう。不要なメールは配信停止してもらうことで、迷惑メール報告を防ぐことができます。「リストの数を減らしたくないから」と配信停止の手順を複雑にしているケースも見られますが、その結果、迷惑メール報告が増えてしまえば到達率に深刻な影響が出てしまいます。配信停止は、メール本文内に設置する配信停止リンクと、メールボックス側で表示される「ワンクリックでの配信停止」の2種類とも必要です。
メールプリファレンスセンターを設置する
配信停止以外の選択肢として、受け取るメールの種類や配信頻度をユーザーが選べる「メールプリファレンスセンター」の設置もお勧めです。エンゲージメント維持やフィードバックの収集にもつながります。
再エンゲージメントメールを送信する
長い間反応がないメールアドレスに対しては、クーポンや特別なオファーなどを記載した再エンゲージメントメールを送信しましょう。ただし、何度も送ると逆効果になるので、計画性が必要です。そして、再エンゲージメントメールにも反応がない場合は宛先リストから削除するなど、「サンセットポリシー」を決めておきましょう。
──つまり、「ある一定期間メールに反応しなかった宛先にはもうメールを送信しない」という線引きを、企業側が主体的に決めておくべきということですね。
その通りです。反応がないメールアドレスに送り続けることは、先述の通り到達率に悪影響を与え、メール送信コストも増加します。宛先の「量」よりも「質」にこだわり、必要なユーザーに最適なコンテンツを届けることに注力することこそ、意義のあるマーケティング活動と言えるのではないでしょうか。