長年愛される秘訣は「みんなへ」のコミュニケーション
青山(MIXI):2つ目のキーワードは「みんなへ」です。モンストでは施策ごとに重点を置くターゲットは定めるものの、総合的な施策としてより広い範囲にアプローチしています。結果として多くの方にサービスを手に取ってもらい、コミュニケーションプラットフォームであり続けることを目指しているからです。「みんなへ」の例を、3つに分けて紹介します。

新規ユーザー/既存ユーザー
青山(MIXI):新規ユーザーと既存ユーザーのどちらを重視するのか、よく質問をいただきますが、両方のプロセスにバランスよく取り組むことが重要です。

青山(MIXI):私たちが目指しているのは、既存ユーザーの満足度を高め、継続的に利用いただくことです。満足いただいているユーザーから、新規ユーザーへと自然な推奨が広がり、その結果として新規ユーザーの獲得と既存ユーザーの継続という好循環を生み出します。
ヘビーユーザー/ライトユーザー
青山(MIXI):2つ目は、プレイスタイルの多様性への対応です。ヘビーユーザー向けの攻略コンテンツ、ライトユーザー向けのショートコンテンツ、さらに音楽やアニメなど、様々な接点を用意しています。

オフラインチャネル/オンラインチャネル
青山(MIXI):ユーザーの方々の場所や環境、トレンドに応じて、最適な形でアプローチできるよう、オンライン・オフライン双方のチャネルを多様化させながら施策を展開しています。

佐藤(MOTTO):モンストは、11年続く国民的なアプリです。全方位、マルチチャネルで展開する中、どうやって効果測定していますか?
青山(MIXI):各施策でKPIを置いているのと、市場調査を通じて、プロモーションによる認知率や好感度などの変化を確認しています。
今日お伝えした2つのキーワードをまとめると、「何」を示す「体験づくり」と、「誰へ」を示す「みんなへ」という考え方でユーザーとつながり続けていることが、11周年を迎えられた理由の1つだと思います。
ゴミではなく、Great ideaを生み出せているか?
水谷(Duolingo):2つ目のキーワードは「99%のマーケターはゴミを生み出している」です。これは私たちが自戒を込めて使っている言葉でもあります。

水谷(Duolingo):世の中には、人々の心を本当に動かせるアイデアが、実はほとんど存在しません。そのため、マーケターにとって最も重要な仕事は、人々の心を動かすGreat ideaを作ることに集約されます。
事業会社のマーケターがGreat ideaを生み出せていない場合に起こりがちな問題として、広告代理店とのコミュニケーションがあります。非常によろしくないことですが、「広告代理店のアイデアがイケてない」という会話は“あるある”だと思います。しかし、広告代理店から良質なアウトプットが生まれない原因は、ブリーフの段階でマーケターがGreat ideaを提示できておらず、代理店のクリエイティビティを引き出せていないからです。
マーケターが、ユーザーの話からインサイトを導き出し、プロダクトのベネフィットを定義することは前提で、そこからGreat ideaへと昇華させていくもう1歩が求められています。
私も日頃ゴミを生み出している自覚はありますが、うまく昇華できたと自負しているDuolingoの事例を1つご紹介します。「英語学習は面倒」というインサイトから、「リラックスした状態でも、Duolingoならできる」というベネフィットを見いだし、「ゴロゴロしながら英語が学べる」という具体的なアイデアを生み出しました。このように、インサイトからGreat ideaを生み出すプロセスが、マーケティングでは重要になります。
佐藤(MOTTO):お二方の話を伺って、改めて“姿勢”が重要だと感じました。実際にユーザーの方々と向き合い、本質的なベネフィットを見いだし、それをチーム一丸となって発信していく過程では、自信と覚悟、そしてプロフェッショナルとしてのプライドが非常に重要ですね。
ぜひ皆さんも、今回の事例を参考に、様々な可能性を検討していただければと思います。本日は貴重な時間をいただき誠にありがとうございました。