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大山忍のちょっと気になる海外マーケティング事情

第6回 SEMのリアルタイム戦略~アクセス解析と自動最適化ツール~


クリック率を超えたSEMの効果分析と最適化とは?

 日本よりSEMの競争が激しい米国では、オンラインマーケッターたちはどのようにSEMの費用対効果をあげる努力をしているのでしょうか?

 米国のリサーチ会社MarketingSharpaによると、5年以上の経験を持つSEM専門会社の専門家達にもっとも支持されているROIの高いキーワードの探し方のうち、上位2つの方法にはアクセス解析が活用されています(図1)。

(図1)ROIの高いキーワードの探し方

 特に注目なのは、単にページへのアクセスが多かったキーワードを探し出すだけでなく、資料請求や商品購入など、実際のアクションに結びついた確率(コンバージョン率)が高いキーワードをセグメント化し、活用することでより費用対効果の高い結果に結びつけるという良いスパイラルをつくり出しているという事です。

 それでは、アクセス解析のプロたちはどのようなSEM対応策を提唱しているのでしょうか? エンタープライズ向けアクセス解析の米国トッププレーヤー、オムニチュアのレポート(『Search Engine Marketing: Maximizing Profit with Web Analytics』よりふたつのヒントをご紹介しましょう。

1 検索連動型広告とSEOの費用対効果最大化

 ひとつめのヒントは、検索連動型広告とSEOの「共食い」を防ぐということです。SEM(検索エンジンマーケティング)と一言でいっても、検索連動型広告とSEOでは、コストの回収方法が異なります。SEOでは、数ヶ月をかけていくつかのキーワードで検索結果のトップに表示されるようサイト自体の最適化をするため、初期投資がかかります。

 よって検索結果に上位表示されはじめ、よい見込み客をサイトに誘導できて初めてコストが回収され始めるわけです。一方、検索連動型広告では、入札すればすぐ検索結果の上位表示が可能なので、費用対効果を考慮しながら、継続的に入札をマネジメントする必要があります。

 ここで、SEOと検索連動型広告それぞれのキーワードとその効果をきちんと把握するために、アクセス解析が重要になります。もし、SEOで効果の高い誘導ができているのにも関わらず、それを知らずにSEOと同じキーワードを検索連動広告で入札してしまうと、キーワードの「共食い」が発生し、SEOのコスト回収を鈍化させるだけでなく、余分な広告コストをかけてしまうという、コストパフォーマンスの悪い結果を生み出してしまうわけです。

2 キーワードの貢献度

 ふたつめのヒントは、直接アクションに結びついたキーワード以外のキーワードを正当に評価するということです。

 米国ダブルクリック社のリサーチによると、多くのオンライン消費者は最終的な購入までに何度も検索を繰り返すと報告されています。平均すると、2.5回から6回もの検索を繰り返されています(図2)。また、その検索は購入の12週間前から開始され、購入の2週間前には検索をやめてしまっているといいます。業種別にみると、検索結果から直接購入に結びつく割合は、旅行業界で23%であるのに対し、アパレル関係では10%程度と、とても低い結果がでています。

(図2)オンライン消費者が実際に購入するまでに行う検索回数

 ここで、アクセス解析が重要となってくるのは、直接購入に結びついたキーワードだけではなく、同一のユーザーがどのような検索キーワードを検討段階で使用していたかを把握し、それらのキーワードも正当に評価することで、機会損失を防ぐということです。アクセス解析を活用すれば、サイトのリピートユーザーを特定できるので、購入直前のキーワードだけではなく、どのようなキーワードを遍歴して最終の購入に結びついたのかを把握することができます(図3)。

(図3)同一ユーザーの検索パス分析

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2007年はSEM地盤変化の年!?

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この記事の著者

大山 忍(オオヤマ シノブ)

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併し、アフィリエイトシステムの開発企画やマーケティングマネージャーを務める。

2007年1月にオムニチュア株式会社(現Adobe)に参加、コンサルティングサービスを立ち上げる。ビジネスコンサルタントとして米国のベストプラクティスを日本の課題やニーズに合わせて提供、ウェブ解析やガバナンス(データ主導の組織・仕組化)...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2006/12/19 12:15 https://markezine.jp/article/detail/474

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