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MarkeZine Day 2024 Focus

コミュニティの信頼度を高める“循環”で売上UP!ウェザーニュースに学ぶ、ロイヤルマーケの要諦

有料化はLTVを最大化させるための手段

 続いて村田氏は、「ファンのLTVを最大化」させるための取り組みについて紹介。ファンのLTVを伸ばし売上につなげるために同社はどのような取り組みを行ってきたのだろうか。

 その取り組みの一つが「複数メディアの活用」である。冒頭で紹介したように同社では、アプリ、Web、YouTubeと複数のメディアを活用し天気予報を配信している。こうすることで、サポーターが過ごす日常におけるウェザーニュースとの接触回数を増やし、天気予報を知りたいと思った適切なタイミングで情報を提供する仕組みを作ることで、よりコアなファン化が促進される。これがLTV向上につながっているのだ。

 加えて、同社では有料プランも複数提供している。たとえば、現在地の気象情報と連動して通知される「お天気アラーム」機能などがこれに該当する。

お天気アラーム機能。位置情報サービスを活用して、天気の急変を察知し通知する

 ファンになってくれたサポーターがこれらの有料プランの活用を通して、よりウェザーニュースに対して利便性を感じてもらうことができれば、さらにLTVの向上が見込める。

 しかし、一般的に天気予報と言えば、無料で取得できる情報であるイメージが強いだろう。それにも関わらず、同社アプリの2023年四半期における有料サブスクリプションの売上高は約12億円にのぼるほど好調である。同社はどのようにして多くの有料会員獲得に成功しているのか?

ユーザーのアップセルを促す戦略とは?

 その方法として村田氏は、「無料で使える機能を充実させること」が重要であると強調した。

 かつて同社では、サポーターがウェザーリポートに投稿する行為そのものに価値があると考え、有料化していたことがあったのだという。つまり、「サポーターが月額料金を払って、サービス改善のための情報を提供する」という仕組みを構築していたということだ。しかしこれでは有料会員になることがメリットと感じる人は限定的だった。そのため、「有料会員数は思うように増やせなかった」と村田氏は失敗を振り返った。このように、有料化を進める上では、「どの機能までを有料化するのか」の見極めが重要なのだ。

 そこで同社ではまず、多くの人にアプリをダウンロードしてもらうことに注力。無料でも使いやすいアプリを提供することで、サポーターがサービスを使うメリットをしっかりと感じてもらえるよう仕組みを作り変えた。そして、多くの顧客との間で良好な関係が築けたところで初めて、有料化のオプションとして「さらに便利にするためのカスタマイズ」を検討してもらうのだ。たとえば、ウェザーニュースでは「自分のいる地点に関する気象情報が届く」といったカスタマイズの部分を有料にした。天気予報は、自分の地域の天気が荒れた時にユーザーの「自分ごと」になり、有料化してもらいやすい。実際、ゲリラ豪雨などが多い夏の時期に有料会員が増える傾向があるという。

 最後に村田氏は、最初に示したロイヤルティマーケティングを進める上で意識した二つのことに立ち戻り、ウェザーニューズが行っている取り組みを改めて整理した。

 まず一つ目の「CRM施策の実施によるサポーターのファン化」では、サポーターコミュニティの形成やリポート投稿のモチベーション促進施策を実施。そして、高い精度の予測ができるようになることで、サポーターにウェザーニュースを信頼してもらい、ファンになってもらうことを目指す。

 そして、二つ目の「ファンのLTVを最大化させることによる売上の向上」では、複数メディアでサービスを展開することでサポーターとの接触回数を増やしたり、ファンが納得できるプラン設定やより便利に感じる機能の開発で退会者数を抑えたりすることで、売上UPに成功してきた。

 この手順でロイヤルティマーケティングを行うことで、既存のユーザーが良い口コミを醸成。新棚ユーザー獲得にもつながるという良い循環が生まれるのだと村田氏は強調する。

 最後に村田氏は、ウェザーニューズが見据える未来の展望について語り、セッションを締めくくった。

「世の中には無料で利用できる天気予報のサービスがたくさんあります。そして、多くの方は普段からそれらのサービスを活用し、天気予報を確認しているでしょう。そんな中で我々のウェザーニュースが目指すのは、大事なタイミングで最終的に判断する時の『信頼できる道しるべ』になることだと考えています。そのためにも、サポーターの皆様の協力を得ながら、より高精度な天気予報を提供し、多くの方から信頼されるサービスを提供していきたいと思います」(村田氏)

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/25 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47501

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