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マーケターも知っておきたいAWS

AWSは情シスの領域だからマーケには無関係?データ分析環境について考える

 ITインフラの分野で広く知られているAWS。文字の並びを見ても、マーケティングには関係がないとスルーしがちでは?実は、マーケティング領域に向けたサービスも展開しているんです。自社に適切な選択をするためには情報の追加とアップデートが肝要です。本記事では情シス視点でマーケターに知ってほしい、データ分析環境とAWSについてご紹介します。

マーケティングで活用するAWS

 AWS(アマゾン ウェブ サービス:以下、AWS)というキーワードを含むメールタイトルや、資料に記載されたキーワードを見た時に、マーケティング担当者の方々は自分の担当領域ではないと感じる方が多いのではないでしょうか。

 マーケティング領域でAmazonと言えば、ECサイトのAmazon.comであり、また、Amazon Adsに関わっている方々は多いと思います。しかし、マーケティングの領域でAWSが話題に取り上げられることは少なく、その活用方法についてもあまり知られていません。

 一方、クラウドサービスプロバイダーであるAWSは、ITインフラの分野で広く知られています。そんなAWSが、マーケティング領域で活用するための「AWS Clean Rooms」というサービスを2023年から提供していることはご存知でしょうか?

 適切なマーケティングやデータ活用を行うためには、情報を漏れなく収集し、選択していくことが大切です。AWS=ITインフラ=情シス部門に関連するものと考え、そもそも情報網から外してしまうのはもったいない。そう考え、本連載では「AWS Clean Rooms」についてご紹介します。1回目の今回は「AWS Clean Rooms」がマーケティングにどう関わるのかを解説します。

データクリーンルームとは

 まずはデータクリーンルームというサービス・ソリューション自体についても多くの誤解があると思います。実際の現場のマーケティング部門や情報システム部門でも誤解がある方が多い実感があり、今回整理してみたいと思います

 そもそも、マーケティング領域における「データクリーンルーム」は、企業が保有する顧客IDやデータを匿名化し、その他のデータと安全に共有・分析するための環境、仕組みの一般的な呼称です。データクリーンルームを企業内に構築したり、採用したりすることにより、個人情報を保護しながら、より効果的で精度の高いマーケティングインサイトへたどり着くこと可能になります。

 しかし、多くのアドプラットフォーマーがデータクリーンルーム提供を始めている現在、このデータクリーンルームという呼称、定義で誤解を招いている状況が多く出てきています。

 では、どういった誤解で、正しくはどう理解すべきなのでしょうか。

データクリーンルームの種類

 データクリーンルームは大きく2つの種類・カテゴリーに分けられます。同じデータクリーンルームという名前で呼ばれているサービスでも、仕組みがそもそも異なります。

 その2つとは、主にアドプラットフォーマーが提供するデータクリーンルームと、主にITベンダーが主体で提供する今回のテーマでもあるAWS Clean Roomsを含む“クロスデータ分析プラットフォーム”としてのデータクリーンルームです。

 1つ目の主にアドプラットフォーマーが提供するデータクリーンルームには、「Google Ads Data Hub」、「Meta Advanced Analytics」、「LINE Data Clean Room」、さらにAmazon Adsのサービスラインナップの1つとして提供されている「Amazon Marketing Cloud」があります。

 これらのデータクリーンルームは、アドプラットフォーマーが、そのプラットフォームの延長として提供しているものであり、ウォールド・ガーデン型のデータクリーンルームとも言えます。基本的には自社の保有データとアドプラットフォーマーのデータクリーンルームの1対1の組み合わせで活用する仕組みです。

 この方式は、1つの広告媒体で多くの金額を投下している企業においては、分析の効果を可視化しやすい点や、分析結果をリアルタイムに広告運用施策に反映できるなどの即時的なメリットがあります。デメリットは、1対1のデータの分析となる点です。マーケティング分析で新しい発見や効果的インサイトを得るためには、様々な視点からのデータを掛け合わせて多角的に分析、活用することが重要です。この、掛け合わせてデータを分析することが難しい仕組みとなっています。

 2つ目のカテゴリである、“クロスデータ分析プラットフォーム”としてのデータクリーンルームは、自社1stPartyデータ、2ndパーティデータ、3rd Partyデータ、広告等のデータなど様々なデータを組み合わせて分析が可能です。

 このカテゴリには、アドプラットフォーマーというよりは、SaaSプラットフォーマー、クラウドプラットフォーマーが提供するサービスが該当します。例としては、「Snowflake」、「AppsFlyer」、「Habu」、「InfoSum」といったプラットフォーマーがサービスを提供しており、今回の「AWS Clean Rooms」もこのカテゴリです。

 冒頭に誤解が多いとお伝えしましたが、まずAWSは情報システム部門だけでの活用ではなく、マーケティング領域でも活用できるサービスとして、クリーンルームを提供しています。さらに、Amazon関連のクリーンルームは2つ存在し、アドプラットフォーマーとしての「Amazon Marketing Cloud」と、クロスデータ分析プラットフォームとしての「AWS Clean Rooms」があることをご説明させていただきました。

次のページ
「情シスはAWS、マーケはGoogle」が多い理由

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この記事の著者

山田 輝明(ヤマダ テルアキ)

NRIネットコム株式会社 クラウドテクニカルセンター 副センター長 兼 営業DX推進担当

2009年にNRIネットコムに入社。デジタルマーケティング事業を立ち上げ、特にGoogleアナリティクス、デジタル広告に関するビジネス拡大に注力。2018年にNRIネットコムから一旦退出し、株式会社MeeCapを設立、スタートアッ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/11/26 08:00 https://markezine.jp/article/detail/47522

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