ホットリンクが探る、SNS活用企業の成功の秘訣
─ 目的に即しているならば、あえて機能やブランド訴求はしない選択もする。PaidyのSNS活用の姿勢
─ Instagramで中長期的なブランディング強化を狙う、運用戦略を見直した「KOSÉ公式アカウント」
─ 「ぬいぐるみクリーニング」で話題の「ネットで洗濯.com」がSNSで発信し続ける理由
─ “企業アカウント然”としない投稿でフォロワー数27万人超、JA全農広報部に聞くSNS運用の心得
─ 「100人に1人刺さる」企画が数字をつくる、らしさを追求したヤッホーブルーイングのSNS運用(本記事)
ファンと一緒にビール文化を盛り上げたい
――まずは、ヤッホーブルーイングについて教えていただけますか?
当社のミッションは「ビールに味を!人生に幸せを!」です。1997年に『よなよなエール』の販売を始めた当時は、世の中に流通するビールの味は画一的でした。そこに、多様な味わいのクラフトビールを提供し、新たなビール文化を創出したいという強い思いをもって製品開発を始めました。
嬉しいことに現在ではビアパブが増え、クラフトビールの種類も豊富になっていますが、今以上にもっと全国のコンビニでも多様なビールが手に取れるようになってほしいと考えています。市場を広げるだけでなく、応援してくださるファンの方も何より大切な存在です。味わいはもちろん、エンターテインメント性をもってささやかな幸せをお届けし、ファンの方と一緒にビール文化を盛り上げていきたいと思っています。
「ヤッホーらしさ」を重視したSNS発信
――村井さんが所属されている、よなよな編集部はどのような部署ですか?
よなよな編集部は6名体制で、X(@yohobrewing)やInstagram(@yonayona.ale )といったSNSとオウンドメディアの運営を担当しています。オウンドメディアとしては「よなよなの里」というメディア機能の付いた通販サイトがあり、そこでクラフトビールに関する記事などを掲載しています。
よなよな編集部の特徴は、全員で企画から制作まで一貫して行っていることです。一般的には、SNSの媒体ごとに担当者を分けたり、外注したりすることも多いと思います。しかし私たちは、それを自分たちで行うことで「ヤッホーらしさ」を表現できると考えています。
――「ヤッホーらしさ」とは、具体的にどのようなものでしょうか。
当社では、ファンの方から支持していただいている要素として「革新的行動」「顔が見える」「個性的な味」という3つの価値を「ヤッホーバリュー」と定義しています。これらを「ヤッホーらしさ」と呼んでいます。
でも、これが結構難しくて……ヤッホーバリューは定義されていますが、それを具体化しようとすると解釈やアウトプット方法は人によって異なってくるので、企画会議で議論しながら、具体的な表現方法を詰めていっています。
また会社としてファンの方をとても大切に思っており、「ぞっこん度」という指標を設けています。ぞっこん度とは、ファンの方の「ヤッホー好き度」を段階に分けて分類したもの。私たちの製品や活動を通じてファンの方のぞっこん度が高まることを目指しています。
2023年~2024年は特にSNSで「ヤッホーらしさ」を重視する戦略をとり、認知を広げる、新規顧客を増やすというよりは、ファンの方により好きになってもらえるような企画を考え、発信をしていくようにしてきました。当社は12月で期が変わりますが、これからは少し戦略を変えていきます。