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成果につながるリサーチ

パナソニックが実践する未来起点のリサーチ 数年先の生活者や市場を捉える意義

未来予測のきっかけ「兆しカード」とは

──「こういう事業に勝機がありますよ」という解を伊東さんが差し出すのではなく、示唆を得るための材料を用意して各事業部のメンバーに考えてもらうアプローチなんですね。

 はい。とはいえ手がかりがない状態で未来を構想するハードルは高いため、XDCではツールを用意しています。その一つが「未来の兆しカード」です。

未来の兆しカードのイメージ
未来の兆しカードのイメージ

 このカードは当社のデザイン経営実践プロジェクトチームと制作しているものです。たとえば「五感がインターネットに接続されている」など、未来に起こりそうなことが書かれたカードを用意します。そのカードをきっかけに、私たちがリサーチした先行事例を伝えつつ、メンバー同士で事業の可能性を探ってもらうんです。

──インサイトリサーチ課では事業開発/変革を担うメンバーと協働するケースが多いようですが、マーケターと仕事をする機会もありますか?

 はい、あります。幸いマーケターの中には、未来起点の発想の重要性を理解している方が多いため「兆しのヒントを教えてほしい」と聞いてくれる方もいます。ただ、業務に追われて時間がないぶん「要約して教えてほしい」と言われることもあって。リサーチはある程度まとまった時間を要する、効率とは無縁の作業です。AIを使えばデータの収集やインタビューの発言録を要約する作業は楽になりますが、便利な一方でリスクもあると感じます。

自動化の前に自分で手を動かすことが大事

──どのようなリスクを感じていらっしゃるのでしょうか?

 主にリサーチスキルの低下を懸念しています。リサーチ業務を経験したことのある方が一部の作業を自動化するのは良いですが、初めてする方や経験の浅い方がリサーチプロセスの一部を自動化してしまうと「その示唆がどのような過程で抽出されたのか」が見えないためです。

 私は過去に、テキストマイニングを手動でやったことがあります。自由記述で集めた数百件の回答すべてにタグを付けて集計表をExcelで作成し「この問いに対して何を言っている人が多かったのか」を手動で抽出しました。この経験を通して、データマイニングの仕組みをフィジカルに理解することができたため、自分で一回やってみることは大事だと考えています。

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多忙なマーケターのための“筋トレ”方法

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/03/31 07:00 https://markezine.jp/article/detail/47773

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