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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

マーケター主導で進める生成AIの組織利用

リサーチ、戦略策定、アイディア創出…マーケティング業務全般へのAI活用事例を紹介

5.業務生産性向上における活用

業務自動化の仕組み

 業務プロセスの中で自動化した仕組みを作成することが、業務生産性の圧倒的な向上につながります。しかし自動化させる上では、ツールの活用やエンジニア的なスキルが求められる場面も多いです。Google Workspace(Googleスプレッドシート、Googleドキュメント、Googleスライド、Gmail等)を使われている企業であれば、Google Apps Scriptという仕組みを使うことで、様々な自動化した仕組みを簡単に構築できます。

 Google Apps Scriptのコードを作成する必要がありますが、生成AIに自然言語で質問することで、コードを作成してもらうことができます。コードを指定の箇所にコピー&ペーストするだけで仕組みが作れるようになります。

 たとえば、次のように、やれることは無限に広がります。

  • 定期的なレポートの自動生成と送信
  • メールの自動分類とラベル付け
  • Googleフォームの回答自動処理
  • Googleカレンダーイベントの自動作成
  • 定期バックアップの自動化
  • メール添付ファイルの自動保存
  • Gmailに届いた情報を活用したタスクの進捗管理とリマインダー送信
  • 定期的なデータスクレイピングと更新

 たとえば、多くの顧客にそれぞれにメール文章内容と添付ファイルを変えて、指定の時間にメールを送付したい場合があったとします。MAツールを使うと個別カスタマイズした送付情報を管理するため、効率が悪いという事態がありました。そこで生成AIに質問して作成したコードを用い、すぐに仕組みを作って実行しました。

Google Apps Scriptコードを作成(筆者作成)
Google Apps Scriptコードを作成(筆者作成)(タップで画像拡大)

 これらの自動化の仕組みを誰でもすぐ作れるようになれば、マーケティングプロセスの効率を圧倒的に高められるようになります。

 また近年、MicrosoftのCopilotや、GoogleのGemini for Google Workspace等が進化しており、日本語環境もリリースされてきたことから、生成AIを使わなくても、普段の業務ツールを使う中で生成AIを活用した仕組みづくりが、当たり前になる未来が目前に迫っています。

質問などへの回答の自動化

 社内の業務生産性を下げる要因の1つに、「わからない」の解消に使う時間があります。やり方がわからないだけでなく、会社や組織のルールがわからないといったこともあり、その組織独自の知識にアクセスしやすい状態になっていることが鍵になります。

 ただ、マニュアルを用意しても、その中にある情報にアクセスしにくいなど、即時解消を求める場面では機能しないことも”あるある”だと思います。そこで弊社でも、社内FAQ用のチャットを、生成AIを活用して導入しています。「IZANAI OpenAI powered by Open AI」というクラウドサーカス社が提供するツールを、グループ会社全体で活用しています。人事労務・総務・経理・法務といった領域の決まり事をテキストで学習させ、質問に回答する形で使えるようにしています。マーケティング特化のチャットはまだ作成していないのですが、同様の展開ができると思っています。

(筆者作成)
(筆者作成)(タップで画像拡大)

まとめ

 以上、マーケティング業務におけるAI活用例の一部を紹介させていただきました。生成AIは、リサーチの効率化から戦略立案の充実化、アイデア創出の大量生産、そして顧客体験の向上まで、幅広い領域で革新的な変化をもたらしてくれていると思います。特に、業務の自動化や社内FAQ対応など、日常的な業務生産性の向上にも大きく貢献してくれると実感します。これらのAI活用を進めることで、マーケティング業務全体の質と効率性を飛躍的に高めることができるでしょう。

 そしてこれまで全4回の連載でお話をしてきたように、個人利用ではなく、組織利用だからこそのメリットは圧倒的に高くなります。知見を蓄積して共有しあえることや、安心して業務の中で使える環境を作れること、業務フローの中に取り込んだ使い方に踏み込めるなど、生成AIの組織利用を進化させていく企業が多くでてくることが、日本の生産性向上につながっていくと思います。是非これからも、皆さんと一緒に取り組んでいけたらと思います。

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この記事の著者

石田 拓己(イシダ タクミ)

スターティアホールディングス株式会社 マーケティング部 部長
クラウドサーカス株式会社 執行役員 CSO

博報堂でマーケターとしてマス領域&デジタル領域&メディア領域に9年半従事し、40を超える幅広いクライアント案件に携わる。その後マツダのグローバルのDXプロジェクトに出向して携わった後、DMM.com の経...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/21 09:15 https://markezine.jp/article/detail/47814

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