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BtoB企業がTikTokで若年層にアプローチする理由 ヤンマーに聞く、Z世代とのコミュニケーション

トレンドのフォーマットにあえて乗る

──2023年から開始したTikTokの運用は、特にどのような狙いでスタートされたのですか?

 TikTokにおけるZ世代の利用率がXやInstagramと比べても高いことと、ショート動画のトレンドの波が来ていることを鑑みて、TikTokの開設に踏み切りました。

 Z世代は検索エンジンを使わずに動画で情報収集したり、隙間時間でサクサクと情報を見たりするスタイルに変わってきています。ですので、Z世代の生活スタイルに合わせたコンテンツを出していくために、最適なプラットフォームがTikTokだと考えました。

──具体的に、どのようなコンテンツを投稿しているのでしょうか?

 投稿する動画の長さは約30秒と、極力短くすることを意識しています。内容はエンタメ要素を盛り込み、楽しみながら思わず見てしまうコンテンツを目指しています。

 コンテンツを作る際には、「トレンドに乗る」ことが重要だと考えています。私たちがゼロから考えた企画よりも、ユーザーが既に見たことのあるコンテンツのほうが受け入れてもらいやすく、「おもしろそう」と立ち止まってもらえるからです。恐らく、ヤンマーを知らなくても、動画のフォーマットを知っていれば、目にとめてもらいやすくなると思います。

 どうしても自社のメッセージを前面に出したくなりますが、「Z世代が求めていること」を優先することが大事だと感じます。

 とはいえ、すべてのコンテンツがエンタメ一色というわけではありません。企業として伝えたい内容にフォーカスしたコンテンツも並行して作成し、バランスをとるようにしています。

 社員紹介などヤンマーを伝えるコンテンツや、流行りのコンテンツ(リズムあるある)が投稿されている
社員紹介などヤンマーを伝えるコンテンツや、流行りのコンテンツ(リズムあるある)が投稿されている

──ショートドラマ「土の香り」も話題になりましたよね。

 ショートドラマではユーザーの共感を得ることを重視しました。2話構成なのですが、2話の最後のほうに少しトラクターが登場するだけで、ヤンマー要素はほとんどありません。

 ドラマの内容は、実家の農家を継がなければいけない女の子が「農家はダサい」と感じていたところから、農家がかけがえのない職業であることに気づいて、前向きに農業をやろうと決意するまでの物語です。

 TikTokでは、このドラマを見て「農業に対してすごくポジティブなイメージを持った」という趣旨の共感のコメントが多数寄せられました。この共感を生むストーリー構成が、1話、2話で計1,000万回以上の再生回数という高いリーチにつながったのだと思います。

「土の香り」2話より。トラクターが登場するのはラスト数秒
「土の香り」2話より。トラクターが登場するのはラスト数秒

──各コンテンツは、どのように作られているのですか?

 月に1回、動画の撮影日を設けており、その日に複数本まとめて撮影します。企画はその約1ヵ月前から協力会社と考えています。今のトレンドを踏まえたコンテンツ案をいくつかいただき、そこにヤンマーが発信したい内容をどのように盛り込むか検討します。トレンドの流れが非常に早いので、下火になっていると感じた企画は準備を進めていても中断することがあります。

 また、ブランドステートメントとして掲げている「A SUSTAINABLE FUTURE-テクノロジーで、新しい豊かさへ。-」や、創業当時から受け継ぐ“人の可能性を信じ、人の挑戦を後押しする”という当社の価値観「HANASAKA(ハナサカ)」をヤンマーらしさだと考え、コンテンツから伝わるように心掛けています。

 とはいえ、ユーザーの共感を得つつ、トレンドに合ったコンテンツに「ヤンマーらしさ」をうまく乗せるのは難しく、苦労するポイントです。「これはいける」と思って投稿したコンテンツでも、再生回数が伸びなかったものもあるので、試行錯誤を重ねるしかないですね。最終的にできあがる動画はたった30秒ほどですが、時間をかけて企画しています。

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「堅そうな会社」のイメージを、いい意味で緩める

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この記事の著者

岡田 果子(オカダ カコ)

IT系編集者、ライター。趣味・実用書の編集を経てWebメディアへ。その後キャリアインタビューなどのライティング業務を開始。執筆可能ジャンルは、開発手法・組織、プロダクト作り、教育ICT、その他ビジネス。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/02/28 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47823

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