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MarkeZine Day 2026 Spring

広告産業のパーパスを考える

既定路線の外にポテンシャルが。アースミュージック&エコロジー坂巻暢彦氏が持つ「広告会社への期待値」

いまの広告会社に足りないのは「真面目にふざける」バランス?

藤平:では、逆に、いまの広告会社足りていないもの、魅力が薄れてきたものは何だと思われますか?

坂巻:広告会社だけでなく、弊社含めどの会社も大体同じだと思いますが、「面白いことをやろう」と言われているのに、実際はルールだらけでがんじがらめになっていますよね。正直、過去の広告についても、既定路線で当たり前のものが出てくることに物足りなさを感じることはありました。

 今回、earth music&ecology25周年のブランドアクションで藤平さんとご一緒しましたが、藤平さんのチームは、プランナーの方もアートディレクターの方も「真面目にふざける」ところをちゃんと持っていますよね。この真面目にふざけるというのは、なかなか難しいことだと思うんですよ。

藤平:思いがけず褒めていただいたようで(笑)、ありがとうございます。ちなみに、「真面目にふざける」をもう少し深掘りすると、どんなニュアンスになるでしょうか?

坂巻:一定のところまでは“真面目に”、つまり戦略的にシャープに考えていただいた上で、それをアイデアにする際、私たちでは思いつかない飛距離や角度に“ふざけて”飛ばして下さる、というような感じでしょうか。真面目なだけではつまらないし、かと言って、ただふざけることも求めていない。そんな中でのバランスと言いますか……伝わります?

藤平:ばっちり伝わりました。今回、earth music&ecologyのパーパス策定、お披露目のコミュニケーション、シンボリックアクションを担当させてもらいましたが、たしかにパーパスを策定するところはとにかく真面目に、アイデンティティを煎じ詰めて皆さんと作りました。一方、その先のアクションでは、Webドラマと連動したコレクション(商品)開発を中核に据えるなど、確かに「ストレートに広告で表現する」ところからズラして、違う領域に踏み込みました。

2024年に策定したブランドパーパスに基づき、ブランド初のアトリエ「いいことアトリエ」を始動。“いい物語”から“いい服”を生み出すアトリエとして、コンテンツ(Webドラマ)と服をセットで生み出すなど、広告外の領域でもユニークなコミュニケーションを展開している。写真はWebドラマと連動して発売されたアイテム
earth music &ecologyは2024年に策定したブランドパーパスに基づき、ブランド初のアトリエ「いいことアトリエ」を始動。“いい物語”から“いい服”を生み出すアトリエとして、コンテンツ(Webドラマ)と服をセットで生み出すなど、広告外の領域でもユニークなコミュニケーションを展開している。写真はコレクションと連動しているWebドラマのキービジュアル

坂巻:「あ、そこに着目してそんなことやるんだ」という風に驚いた部分もあったんですが、とてもよい取り組みだったと思っています。「いよいよearth music&ecologyが始動したか」と、業界内や競合他社に一石を投じられたのではないでしょうか。

 私が一番嬉しかったのは、ずっと減り続けていたInstagramの公式アカウントのフォロワーが2024年、大きく増加に転じたことです。一時は一世を風靡したearth music&ecologyというブランドが、この5~6年は非常に険しい道を歩んでいました。そこからはい上がり、挽回基調に。さらにF1層にリーチし新規のお客様を増やすことができているんですから、ビジネス視点でも振り返ってもよい取り組みだったと言えます。

藤平:ちなみに売上は、昨対比でどのくらいになりましたか?

坂巻:2期連続で2桁増を達成することができました。特に2024年は、業界自体が厳しい状態の中、かなりポジティブな数値であると見ています。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/27 09:00 https://markezine.jp/article/detail/47851

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