「おもしろい話」を引き出すには、話の脱線を楽しむ
━━社員のインタビュー記事を発信したい企業は沢山あると思います。一方で、おもしろい話が出てくるのか不安を抱く方も多いはず。何か工夫していることはありますか?
編集部のメンバーとは「取材をする私たちが楽しめるかどうか」が大事だ、とよく話しています。
社員にインタビューをしてみると、当初の想定にはない話が出たり、時には脱線したりということが沢山出てきます。その時に私たちが(脱線を)止めない、むしろ話をおもしろがることが重要だと感じますね。インタビュー相手も、きっとそこにおもしろさを感じていたり、熱量を持っていたりするからこそお話しすると思うので。
━━脱線すると、つい予定していた内容に戻そうとしてしまいがちですが、そうではないと。ちなみに、どのような社内体制でメディアを運営しているのでしょうか?
元々4〜5名のメンバーで編集部を立ち上げて、現在は9名になっています。全員、グループ広報部の社員ですね。部内には4つの課があり、全課が参加する唯一の横ぐし組織です。メンバーは皆、通常業務と兼務で行っていますね。
━━記事は基本的に社員で内製しているとのことでしたよね。
一部は外部のライターさんやフォトグラファーさんにも手伝っていただきながら、おおむね8割以上は編集部メンバーが作成しています。
編集部9名のうち、2名はデスクとして校閲などを行っているので、実際に記事を作るのは7名。記事企画から取材撮影、記事作成、その後の拡散や分析報告までを担っています。
私たちが考えているのは、これら一連の記事作成プロセスを回す中で、総合的な広報・PRパーソンとしての力をメンバーが高め合っていくこと。いわば編集部を“寺子屋”として、企画力や分析力などのスキルを学び合う場にできればと思っています。
売り上げにも貢献した「ピザポテト」記事のヒット
━━これまでに反響の大きかった記事はありますか?
「ピザポテト」の開発者にインタビューした記事です。公開9ヵ月後に突然SNSで話題になり、メディアなどでも取り上げていただきました。その結果、同時期に「ピザポテト」の売り上げも伸びていて。もちろん、様々な要因が重なったとは思いますが、商品担当者から「この記事が貢献しているのでは」という分析がありました。
━━オウンドメディアの記事が商品の売り上げにつながるのは本当に珍しいケースですよね。
もう一つ興味深かったのは、この記事が話題になった理由です。その社員が「堅あげポテト」や「ア・ラ・ポテト」といった他の人気商品の開発に携わっていたことが注目されたんです。
この経験を機に、改めて「誰に取材するのか」は大事だと思いましたね。
━━それまで、この開発者が表に出る機会はなかったんですか?
それほど多くはなかったと聞いています。ただ、私は他社から移ってきた立場なので、これだけの人気商品を複数開発した人が社内にいると聞いて、もっと紹介したいと感じていました。
━━長く社内にいると、外から見たら凄いことが“当たり前”になっているケースもあります。一度視点を変えて企画を考えるのも大切かもしれません。
