できる限り全リプライに返信し、投稿に反応する
――具体的にはどのようにXの運用をしていますか?
お客様と一緒に楽しむことを大切にして、積極的にコミュニケーションを取っています。たとえば、毎朝「おはちくわ」と投稿すると、1日150~300件近くのリプライをいただきます。基本的にはそれらすべてに返信をしています。
また、お客様からの「この商品を食べたよ」とか「こうアレンジしたよ」といった投稿も、できる限り「いいね」を付け、リプライするよう意識しています。
フォロワーさんは投稿に「#のりふ民(紀文ファンの愛称)」や「#紀文」とハッシュタグを付けてくださるので、エゴサーチをして積極的に拾い、反応するようにしています。
――他社とのコラボ企画や書籍の出版なども展開されていますが、これらもXが発端となったのでしょうか?
そうですね。2024年はユニクロ様とのコラボTシャツや、主婦の友社様からのレシピ本出版、バンダイ様とのガシャポン企画を実施させていただきました。
実はどの企画も、元々はXアカウントのフォロワーだった担当者の方からX上でお声掛けいただいたことがきっかけです。「ぜひお願いしたい!」とメッセージをいただいた時は本当に嬉しかったですね。
多くの「のりふ民」の方々にも喜んでいただけました。公式レシピ本出版の発売記念イベントでは、「サインしてほしい」とお客様に言っていただき、色紙に初めてサインさせていただきました。
――御社の中では、Xのアカウントはどのような存在ですか?
営業部門以外の社員からも「見たよ」と頻繁に声を掛けられます。アレンジレシピやグッズのアイデアを提案してもらえることもありますね。実際、製造部門の方から教わった食べ方を基にレシピを投稿したこともありました。
一方通行から双方向へ、「好き」につながる運用への転換
――Xのアカウント開設当初(2017年)の投稿は、ユーザーとの交流は少なく、商品訴求投稿がメインだったように感じました。どのような経緯で現在のコミュニケーションスタイルに転換したのでしょうか?
当初は懸賞キャンペーンの告知投稿が中心でしたが、「本当に届けたい人に情報が届かない」という課題がありました。そこで2022年に前任者が運用を引き継いだタイミングで視点を変え、一方通行の発信から、双方向の会話を重視する運用へ転換しました。
前任者がデジタルネイティブ世代で、Xを使い慣れていたこともひとつの要因です。ただ、何より前任者が、「お客様から『紀文の商品を買いに行こう』と思って選んでもらえる会社にしたい」という想いを持っていたことが大きかったと思います。
そこで、商品情報を発信するだけでなく、紀文という会社そのものを好きになってもらうことを重視し、「交流」を大切にする運用へとシフトしました。
――フォロワーからの反響で印象的だったことはありますか?
ありがたいことに、最近は高校生のフォロワーからリプライをいただいたり、イベントに親子で来てくださる方も増えたりと、幅広い層のお客様とつながる機会が増えています。
印象的だったのは、繁忙期に「今日はお返事できません」と投稿した際、「紀文の商品が店頭にたくさん並ぶことが『のりふ民』の幸せです。なので、お返事気にしないでちくわ」とフォロワーさんからリプライをいただいたことです。商品だけでなく、紀文そのものを愛していただけていると感じ、ジーンときましたね。
