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工数50%削減に成功!なぜKDDIは「広告クリエイティブ生成AIシステム」をゼロから作ったのか?

素材生成モデルとブランドを遵守する仕組み

 では、ブランド遵守、データドリブン、作業効率化の3要素を達成するために、どんな機能をシステムに搭載したのだろうか。馬場氏によると、システムを構成するメインのAIは、「素材生成モデル」と「KPI予測モデル」の2つだという。

「クリエイティブ生成システム」のシステム構成イメージ
「クリエイティブ生成システム」のシステム構成イメージ
※クリックすると拡大します

 同システムの素材生成モデルは、バナーに使用する画像を生成し、文字を組み合わせてデザインを組む役割を果たす。

 広告バナーの制作でありがちなのが、ブランド遵守のために重要な“一貫性”を担保できないことだ。そこで、ブランドカラーやロゴのアイソレーション、使用写真のトーン&マナーなど、ブランド規定を守ったクリエイティブが生成できるようシステム開発を行った。

「au VISUAL IDENTITY」の写真規定
「au VISUAL IDENTITY」の写真規定として、CLEAN、FRIENDLY、PLAYFUL、ADVANCEDの全4種のトーン&マナーを定義している
※クリックすると拡大します
CLEAN、FRIENDLY、PLAYFUL、ADVANCEDのいずれかを指定すると、自動的に生成画像に反映される
CLEAN、FRIENDLY、PLAYFUL、ADVANCEDのいずれかを指定すると、自動的に生成画像に反映される
※クリックすると拡大します

 また、ロゴの視認性も上げられる。たとえば背景画像にロゴが被り視認性が悪い場合、白帯を付与して「au」の視認性を担保することが可能だ。また、ブランドカラー(オレンジ色)の使用過多をチェックする項目も設けられており、全体のデザインバランスも保つことができる。

データ分析で「効果が出るバナー」を量産

 そしてKPI予測モデルは、過去2年間の広告配信データを学習し、配信媒体ごとにクリック率などのKPIの予測値を出力する。これにより、素材生成モデルが生成した複数バナーの中から、KPI予測モデルが良好と予測した上位6枚がバナー制作時の選択肢として提示される。

KPI予測モデル
KPI予測モデルは、過去2年分の広告配信実績データを基に分析し、素材生成モデルが制作したバナーのCTRを予測する。分析時には、AIが扱えるように画像内容をテキスト化し処理する工程を経ている
※クリックすると拡大します

 この高度な選別プロセスが確立されたことにより、「効果が見込めるバナー」を効率的に量産する体制が構築された。

 「広告配信データの活用が重要だとわかりながらも、多くの企業では活用できていないのが現実だと思います。このKPI予測モデルでは、配信実績データを再学習のデータとして用いて実績と予測値の乖離を突き止めることで、KPI予測モデルの精度をさらに上げ、改善サイクルを回していく予定です。ブランドを守ることとデータドリブンに進められることが、このシステムの大きな特徴です」(馬場氏)

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AI活用の限界と見極めるポイント

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この記事の著者

西原 小晴(ニシハラ コハル)

 京都府立大学農学部出身。前職は大手印刷会社にて化学物質管理のシステム開発&管理者。退職後、化学・建設・環境法規制などの知識を活かして大手企業のライティングを行う。現在はリードナーチャリング、セールスライティングをメインとするマーケターとして活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/25 08:30 https://markezine.jp/article/detail/48499

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