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「賭博」「たばこ」「不健康」麻雀のパーセプションを変えたMリーグにブランディングのヒントを学ぶ


麻雀はスタジアム観戦ができない

 第三の成長要因として、塚本氏は「ファンマーケティング」を挙げる。同氏によると、Mリーグには他のプロスポーツにはない大きな課題があった。それは「スタジアム観戦ができない」という点だ。

 サッカーや野球などのスポーツは、スタジアムでのリアルな観戦を通じてファンが臨場感を楽しみ、一体感も得られる。対して麻雀は競技の特性上、会場に観客を入れることができず、選手とファンの直接的な接点を作りにくい。この課題を解決するために生まれたのが、パブリックビューイングだ。

「ファンとMリーガーが直接交流できるイベントを開催することで、チームを応援しやすい環境を整えました。イベント会場では、Mリーガーと一緒に試合をリアルタイムで観戦したり、推しのチームを応援したりできるため、より深いファンコミュニティの形成につながっています」(塚本氏)

登壇者の資料より
登壇者の資料より

 スタジアム観戦ができないという弱点を、ファンとの距離を縮める機会に変える──こうした発想の転換こそ、Mリーグの成長要因と言えるのではないだろうか。

 ファンとの関わりはリーグの運営にも及ぶ。Mリーグでは、SNSでファンから寄せられたフィードバックを基に、大会の仕組みを改善してきたそうだ。この点が、信頼感の醸成につながっているという。

「Mリーグがスタートし、最初に“箱推し”という言葉が流行りました。これは、個別の選手やチームだけでなく『Mリーグ全体が好き』という形でファンが応援してくれることを意味します。こうしたファンの反応が得られたのは、ファンの意見を取り入れながら、より熱狂できるコンテンツの制作やルールの改善を行ってきたことが大きいと考えています」(塚本氏)

企業との共創で間口をさらに広げる

 第四の成長要因は「共創」にある。Mリーグでは、様々な企業とともに新たな価値を生み出しながら、競技の発展と市場の拡大を目指しているという。

 これまで、飲料・食品メーカーとのコラボのほか、証券・保険会社のインフォマーシャル広告など、異業種とのコラボレーションを通じてより多くの人々に麻雀の魅力を届けてきた。また、Mリーグの放送内で流れるCMも、スポンサー企業と共同で制作し、各社が伝えたいメッセージとMリーグの魅力を掛け合わせた内容に仕上げている。

「企業とのパートナーシップを活かしてMリーグのブランド価値を高めると同時に、企業に対しても新たなマーケティングの場を提供しています」(塚本氏)

 大衆娯楽ではなく「老若男女が楽しめる頭脳スポーツ」としての地位を確立するため立ち上がったMリーグ。プロリーグとしての体制構築やユニフォームの導入、麻雀を「観る楽しさ」に焦点を当て、視覚的に楽しめる仕組みなど、様々な工夫を施してきた。

 さらに「この熱狂を外へ」というテーマの下、新規ファン層の開拓にも注力。パブリックビューイングやオフィシャルグッズの展開、企業とのタイアップ活動などを通して、より多くの人々がMリーグの熱狂を感じ取れるような試みを行ってきた。

登壇者の資料より
登壇者の資料より

 最近、新たな試みとして中国での生中継配信を開始したという。Mリーグという文化を世界へ広める狙いだ。最後に塚本氏は「今後もより多くの世代に愛されるよう、参加型のコンテンツやタッチポイントを創出していく」と語り、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

古田島 大介(コタジマ ダイスケ)

 1986年生まれ。立教大卒。ビジネス、エンタメ、カルチャー、web3、NFTなど興味関心の湧く分野を中心に執筆活動を行う。社会のA面B面、メジャーからアンダーまで足を運び、現場で知ることを大切にしている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/06/24 13:18 https://markezine.jp/article/detail/48560

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