多様化するECサイトのUGC、今後はどう変化していくか
このようなコマースメディアの基盤となるのがユーザー生成コンテンツ(UGC)だ。現在UGCを活用しているECサイトは、商品の情報をメインコンテンツとして掲載し、その下にUGCを取り入れている形が多い。しかし山崎氏は、今後はUGCがメインコンテンツになっていく「逆転現象が起こるだろう」という。
「大手ECサイトで、口コミの数が少ない商品を買うのは不安ですよね。口コミは、安心して買い物をするために欠かせないものになってきています。口コミ機能が付いていないECサイトは、敬遠されていくのではないでしょうか」(山崎氏)
UGCを活用したコンテンツは多様化しており、「レビュー・Q&A」「ECキュレーション」「スタッフコンテンツ」「コーディネート特集」などが挙げられる。山崎氏は最近の傾向として、レビューに投稿者の属性情報を付けるケースが増えていると解説した。
自分と共通の属性(年代や性別など)や同じ悩みを抱える人のレビューは特に参考になるため、こうした属性や悩みに関連したレビューに絞って閲覧したいというニーズが拡大している。「自分と似た人がどのように評価しているか」を検索し回遊することが、当たり前になりつつあるのだ。

このような様々な機能を組み合わせることで、ECサイトはコマースメディアとしてより楽しめるものになるだろう。自分が書いたレビューが何万回も参照されれば、ユーザーも嬉しいと感じるはずだ。ユーザーにコンテンツを投稿してもらい、ロイヤルティプログラムなどを活用しながら「前向きにのめり込んで参加してもらう」ことが重要なのではないか。
リテールメディア広告が急拡大
次に山崎氏は、重要なポイントとしてリテールメディア広告の拡大についても紹介した。昨今、小売事業者(リテール)が運営するECサイトの広告媒体化が急速に進んでいる。メーカーやブランドにとって、ユーザーが商品を購入するECサイトに検索連動広告を掲載することが非常に効果的だからだ。

リテールメディア広告によって、小売事業者は商品販売による収益だけでなく広告収益も得られる。メーカーに広告を出してもらうためには、ユーザーに楽しんでもらうことはもちろん、購入した商品に納得して再度訪れてもらえるようなサイト作りが求められる。そのためにもより安心・安全な買い物体験を提供していく流れもあるという。
「米国では検索エンジンのリスティング広告、SNS広告、そしてECサイトの検索連動広告が広告の3大ジャンルとして定着しつつあります。リテールメディアの広告が盛り上がるのはユーザーと企業の双方にとって良いことのため、日本でも拡大していくでしょう」(山崎氏)
