※本稿は『営業してない相手から“契約したい”と言わせる マーケティングの全施策60』(ブックダム刊)の一部を、著者の協力を得ながらMarkeZine向けに再編したものです。
階段設計の目的:ハードルを下げることで商談化率・受注率を最大化する
この連載では、実際に私がマーケ予算ゼロの「誰も知らない無名のベンチャー企業」で、ゼロからBtoBマーケティングを立ち上げる中で見つけた、勝ちパターンを解説していきます。前回は、三つの視点からBtoBマーケティングの施策を整理し、自社に最適な戦略とその優先順位を見つけるための方法を紹介しました。
今回解説したいのは、「階段設計」です。階段設計とは、ユーザーとの接点から商談までのステップを滑らかに構築することで、ユーザーが次のステップに進みやすくし、商談までのプロセスをスムーズにする手法です。
これにより、商談化率・受注率が最大化され、マーケティング施策の費用対効果が大幅に向上します。

「リードが増えても受注が増えない問題」はなぜ起こる?
そもそも、なぜ見込み顧客は資料をダウンロードしたり、セミナーに参加したりするにも関わらず、商談(打ち合わせ)に来てくれないのでしょうか? その理由を一言で表すなら、いきなり商談に進むのは心理的ハードルが高いからです。
階段設計はユーザーが段階的に次のステップに進むハードルを下げるために設計します。
リード(見込み顧客)を獲得して、いきなり商談を打診するのは、付き合ってもいないのに結婚のプロポーズをするようなものです。当然いきなりプロポーズをしても、お互いの温度感にズレがあるため、むしろ嫌がられます。BtoBの現場で言えば、営業をゴリゴリとかけて嫌がられてしまうのはよくあるケースですよね。
しかし、階段設計があれば、見込み顧客はその段階ごとに自分の求めていた情報が手に入ると感じられ、商談に自ら来てくれます。商談もスムーズに進み、サービスの提案も受け入れられやすいでしょう。
喜ばれる営業と嫌がられる営業の差分は、商談前の階段設計にあるのです。
その違いは数字にも現れます。たとえば、100人の見込み顧客がいる場合、階段設計がないと5人しか商談に進まないことがあります。しかし、階段設計を導入することで、10人、20人と商談に進む可能性が高まるでしょう。そうなれば、マーケティング施策の費用対効果も、雲泥の差です。
<計算例:CPA5,000円の場合>
- 100人の見込み顧客のうち5人が商談へ(95人が離脱)→アポ単価10万円
- 100人の見込み顧客のうち20人が商談へ(80人が離脱)→アポ単価2.5万円
階段設計がなければ費用対効果が見合わず中断していたマーケ施策でも、階段設計があれば費用対効果が見合う可能性が高まります。
考えてみれば当たり前の話ですが、階段設計がないことが原因にもかかわらず、「費用対効果は悪いし、このチャネルはウチとは相性が悪かったのか」といった間違った解釈をしてしまっている事例をよく見ます。
実際にBtoBマーケの相談を個人的に受ける際も、8割の企業がこの階段設計が上手くできていません。今すぐこの階段設計をベースに自社のマーケティングを見直してみてください。