全社員に経営ダッシュボードを配信、起きた変化とは?
データ活用のための環境整備の4つ目の取り組みが、経営ダッシュボードの日次配信だ。各ビジネス領域の重要指標の進捗等がわかるBIをダッシュボード形式で集約したもので、2024年10月に役員・部長へ先行して配信を開始した。その後、自社の基本的な数字を頭に入れておいてもらうために「全社員に見せたい」との社長の言葉を受け、アクセス権限などの整理をした上で、2025年1月末からは全社員に毎朝配信しているという。
「経営ダッシュボードをグループの朝会で確認しあう、各部の重要指標を表すBIダッシュボードを自部署で作る動きが出てくるなど、全社的に変化してきている」と西嵜氏は喜ぶ。
5つ目に紹介したのは「データコミュニティ」だ。データ活用についての情報収集や相談ができるコミュニティのチャンネルを、社内コミュニケーションツール上で開設、社員の約40%超が参加している。リアルの活動として、事例共有会なども展開しているそうだ。
6つ目はデータ活用ページの作成と情報集約。それまで設計書、マニュアルなどが散在していたが、社内ポータルのトップページに「データ活用」専用セクションを設け、情報を集約した。情報だけでなくBIのレポートや、データマートへのリンクも用意し、データ活用に関する情報を社員がすぐに探してアクセスできるようにした。
大切なのはデータではなく、お客さま
西嵜氏はDMOのこれまでの取り組みを振り返りながら、「ビジネス部門はビジネスに集中することが一番大切。そのために、データ専門組織が多面的にサポートすることが重要」と考えを話す。
サポートのポイントは、「データ活用のためのシステム基盤の整備」「顧客を理解するための様々なデータの一元管理」「使いやすいデータに整える」「データ活用上必要なドキュメント類の整備・集約」「各部の利用状況の可視化」など。
社内のデータ活用を推進するための活動を行うDMOだが、データを活用する上で一番大切なことは「何のためにデータを活用するのか、目的を常に意識することだ」と西嵜氏。お客さまの立場に立った施策を各部が行えるよう業務を理解し支援する必要がある。
最後に西嵜氏は、「お客さまにより良い体験をしていただけるように、現場とデータの専門家が一体で取り組んでいきたい」と締め括った。