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【特集】いま選ばれる「ブランド」の作り方

明確に言い切るブランドが選ばれる 属人性を恐れないGREEN SPOONの戦い方

ユーザーインタビューを有意義にする工夫

──人々の情報行動や購買行動が多様化する中、生活者は何をもって“そのブランド”を選ぶのでしょうか? 田邊さんのお考えをうかがいたいです。

 必要を感じると同時に感情が揺れるとき、人はそのブランドを選ぶ気がします。品質や価格などの機能的価値と「かわいい」「おしゃれ」「かっこいい」と感じられる情緒的価値。両者を備えたブランドが選ばれているはずです。

──空腹をただ満たすだけなら、GREEN SPOONのミールより安価な商品を選ぶこともできるはずです。そんな中あえてGREEN SPOONを選ぶ人は、やはりブランドに情緒的価値を見出しているのでしょうか?

 ミールの品質には非常にこだわっているため、機能的価値は大前提です。その上で「パッケージやWebサイトがかわいいから欲しい」あるいは「『おいしくて健康的なものを食べている』と思いたいから欲しい」などの動機も働いていると思います。いずれも当社のビジョンと直結した欲求です。「GREEN SPOONのミールを食べている自分が好きだ」と思ってもらうためには、様々な欲求を満たすことが大事です。

──GREEN SPOONを選ばれるブランドにするために、取り組んでいることを教えてください。

 ユーザーインタビューは継続的に実施しています。過去にはLTVが高いお客様20〜30名のお時間をいただき、私が1対1のインタビューを実施したこともありました。

 インタビューでは、お客様が明確な答えを持っていると思わずに問いを投げかけるよう工夫しています。正面から「GREEN SPOONのどんな点が良い/悪いですか?」「どんな機能が欲しいですか?」と尋ねるのではなく、たとえば「明日GREEN SPOONが潰れてしまったらどうしますか?」という質問を通じてGREEN SPOONの代替品や代替ブランドを把握するなどの工夫です。

 インタビューに加え、日頃から愛用してくださっているお客様を50名ほどお招きして当社の従業員と交流するイベントなども不定期で実施しています。

──ブランド作りにおいては、やはり顧客と直接対話して声を拾うことが重要なのでしょうか?

 お客様の声に傾聴する姿勢は維持しつつ、私自身が強い意思を持つこと、つまりある種の属人性も大事にしています。実は、GREEN SPOONの創業から3年間はユーザーインタビューをしていませんでした。D2Cブランドの運営においては、顧客の意見を取り入れながらPDCAを回すスタイルが定説です。ただ「お客様がAと言っているからAにしよう」という意思決定では、うまくいかなかったときに責任の所在が曖昧になってしまいます。

 “いま”選ばれるブランドは、明確に何かを言い切れるブランドだと思います。価値観や選択肢が多様かつ複雑な社会だからこそ、人は特定の誰かや何かを信じたくなるものです。誰か一人がとんでもなく強い意思と信念を持って「こうすればお客様は絶対に喜ぶ」「これが幸せの形だ」と言い切ることで、お客様は安心して信じられる、つまりそのブランドを選ぶのではないでしょうか。

オフライン、そして海外へ

──最後に田邊さんの展望をお聞かせください。

 現在は全体売上の90〜95%をサブスクリプションサービスの売上が占めていますが、今後はサブスクリプション以外のチャネルを経由した売上も伸長したいです。ミールを単品で召し上がりたいお客様に向けて、スーパーやコンビニへの流通を強化したり、企業の福利厚生としてオフィスにミールを納品したり。当社の直営店をオープンしてランチ時などに利用いただく世界も素敵ですね。

 ちょうど4月から、全国のファミリーマート約1万6,000店でスムージーの販売を開始しました。昨年も数量限定で発売したのですが、ご好評につき1ヵ月で完売してしまったんです。

4月1日より販売を開始したスムージー2種
4月1日より販売を開始したスムージー2種

 加えて、海外進出も本格的に検討しています。GREEN SPOONというサービス名を考案したときからグローバル展開は意識していました。オンラインからオフラインへ、そして国内から国外へ、事業の輪を広げていきたいです。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/04/24 09:30 https://markezine.jp/article/detail/48903

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