グローバルに展開する新事業、社会課題の解決にも向き合う
──現時点で、どんな新しい事業が生まれていますか?
コンテンツビジネスにおいては、「東京アニメセンター」という施設を渋谷にオープンして、北米にも3店舗オープンしました。アニメコンテンツを楽しむモデルとして、たとえば「カプセルトイ」などの日本式のモデルを世界に広めていこうとしています。

それまでは日本に来なければ出会えなかった本物のアニメコンテンツが楽しめるので、北米のアニメファンの方々のニーズを満たす形で、価値を提供できています。
また、版元から外部にライセンスアウトしてしまうケースも多い中で、この取り組みは商品化の新しい選択肢としても価値があると考えています。本取り組みでは当社を中心に版元や制作会社、クリエイターなど様々なステークホルダーと連携し、全体でIPとファンを育てています。しがらみなく多方面と連携できる私たちだからこそ、IPを軸に、ニュートラルに企業同士をマッチングさせて最適なコミュニケーションを実現できるのです。
一方、XRコミュニケーション事業では、メタバースを使った行政との取り組みが始まっています。たとえば、東京都の32自治体(2025年5月時点)に不登校の子ども向けのメタバース空間を利用したラーニングシステムを提供しています。また、ある地域では「メタバース役所」で、本人認証や申請業務ができるような仕組みづくりや、AI相談員が生活者の悩みに応える実証を進めています。

エンターテインメント領域で使われることの多いメタバースですが、「メタバースでないとできないこと」を検討する中で、不登校や、センシティブな悩みを窓口で直接相談しづらいといった社会課題の解決に役立つのではないか、という仮説に至りました。
リアルな場所に足を運びにくくても、メタバース空間ならば場所や時間を超えてコミュニケーションできるので、新しい経済圏が生まれる可能性を感じています。最近では企業の入社式や説明会に使われるケースも増えています。
今後、メタバース関連の企画は企業における新たなコミュニケーションによる価値提供と、自治体における社会課題のソリューションの2つの軸で展開していく想定です。