有機的に連携していく4つの組織
MarkeZine:では、4つの領域について詳細を伺えればと思います。まず、MC(マーケティングコミュニケーション領域)は、どのような組織でしょうか?

1.MC:マーケティングコミュニケーション領域
杉浦:MCはメディア領域とクリエイティブ領域を統合した、マーケティングエージェンシー機能を有する組織です。従来、広告運用やソーシャルメディア企画、クリエイティブチームは個々に細分化されていましたが、統合運用する体制に再編しました。
MarkeZine:プラットフォームの変化を受けて、メディア(運用)×クリエイティブをワンチーム体制にする動きは、デジタル系の広告代理店で見かけます。電通デジタルの場合はどのような狙いがありましたか?
杉浦:デジタル広告に対して、これまでは比較的、メディアが「主」で、クリエイティブが「従」という空気感があったと思います。しかし、「ABテストを繰り返して刈り取る」というような従来型のデジタルマーケティングに限界が来ているのは明白です。顧客視点で本質的なクリエイティビティを追求し、デジタル広告でも「消費者の気持ちを動かすこと」が求められています。
これまでも、メディアチームとクリエイティブチームがそれぞれ強みを磨いてきましたが、メディアプラットフォームを最大限に使いこなすために、両者がセットでクライアントと向き合う必要性がいよいよ高まってきていると考え、今回の統合に至りました。
2.XT:エクスペリエンス&テクノロジー領域
MarkeZine:続いて、XT(エクスペリエンス&テクノロジー領域)について紹介をお願いします。
小林:XTは、マーケティングに関わるDXやシステム開発を通じて、クライアントのビジネス変革を支援する組織です。システムとDXはこれまで別組織でしたが、一つに統合しました。MCが「コミュニケーションで課題解決する側」であるならば、XTは「ベースとなる仕組みを作る側」と言えるでしょう。XTはクライアントの経営企画部やCDO、CIOからのご相談も多く、経営課題への直接的なアプローチにする役割を担います。
3.CP:コンサルティング&プロデュース領域
MarkeZine:4つある領域のうち、今回注目しているのが3つ目の「CP(コンサルティング&プロデュース領域)」です。広告代理店の分業制に限界が訪れているという話もありましたが、それを踏まえてもこの領域は重要な役割を果たすことになるのではと想像します。
小林:そうですね。CPは、MCやXTといった専門機能を横断的に束ね、総合的にプロデュースするフロント組織です。いわゆる「営業・コンサルティング」の役割を担う組織をイメージしていただくとよいかもしれません。営業の役割を担う「統合BP(ビジネスプロデュース)室」と、コンサルティングの役割を担う「トランスフォーメーションストラテジー部門」が内包される形となりました。
規模の大きなクライアント、拡大のポテンシャルが高いクライアントにフォーカスし、CPが主体性をもってチームをディレクションしていきます。目の前の課題解決だけでなく、中長期的な目標を課題解決・目標を見据えて、計画的にコミットしていくことで、MCとXTの能力を最大限引き出すのが、CPの重要な役割です。
4.SF:ストラテジックフォーカス領域
MarkeZine:最後に、SF(ストラテジックフォーカス領域)について教えてください。
杉浦:SFは、「グローバル」や「AI」といった電通デジタルが今後注力していきたいテーマを束ねた投資領域です。グローバルでは、海外のクライアントと対峙するのはもちろん、日系企業の海外進出支援もサポートしますし、「データ&AI部門」という組織では全社的にAIによる業務効率化、ソリューションの高度化を実施しています。
たとえば、当社のAIを活用したマーケティングソリューションブランド「∞AI(ムゲンエーアイ)」の開発もSFで行っています。∞AIも、過去数年で動画、LP、SNSまで対応領域を拡張し、デジタルマーケティング業務全般を高速かつ高精度に回せる基盤として定着が進んでいます。