シェービングとスキンケアを「別もの」から「一連の流れ」へ
MZ: Schickとスキンケアがつながらないユーザーも多いかと思いますが、この点はどのように伝えていますか?
ファーマノフスキー:たとえば、シェービング直後はスキンケア成分が一番浸透しやすいタイミングです。シェーバーがスキンケアにどのような良い影響を与えるのか、当社ならではの知見をお客様にお伝えすると、興味を持っていただけると感じます。

疋田:男性の肌悩みのうち「カミソリ負け」は30~40代で1位、20代でも2位です。Schickの知見はカミソリ負けしにくいシェーバーや、多少のカミソリ負けもきちんと鎮静する薬用美容液などに生かされています。
男性の中でも、シェーバーとシェービング剤はセットで、スキンケアは別のカテゴリーだと考えている方が多いと思います。しかし、シェービング剤にも保湿成分が入っていますし、肌を整えて守るものです。シェービングフォームでカミソリ負けをしない状態を作ることが、スキンケアの一環なのだと知っていただきたいのです。
その点、Schickで一番売れている6枚刃のシェービングもスキンケア商品のラインナップに加えることで、いつものシェービングプロセスからスキンケアへの橋渡しがうまくできていると感じます。

MZ:髭を剃ることからスキンケアへとつなげることで、ビューティグルーミングの世界観を自然と伝えられるのですね。
生活者の前に認知を広げる相手とは
MZ:発売後の反響はいかがでしょうか?
疋田:発売から約3ヵ月が経過しました。まず感じるのは、メディアや百貨店など、我々のブランドを扱ってくださる方々の、Schickに対するイメージの変化です。
以前からprogistaの構想をお話ししていたので、「ついに出たのですね」と反応してくださいます。当社がシェービングだけでなくスキンケアにも強い「ビューティグルーミングカンパニー」であることが認知されてきました。それにともない、「うちでも扱いたい」というリクエストをいただけるようになってきました。
生活者の皆さんに知ってもらう取り組みはこれからですね。数年かけて取り組んでいきたいと考えています。
MZ:具体的に、生活者に向けてどのような取り組みをしていますか?
ファーマノフスキー:20代後半から40代のスキンケアに対する意識の高い男性は、そもそも市場全体における母数が多くないため、これまでのシックのようなマスアプローチでブランド認知を広げるのではなく、実際に使ってもらい、購買に直結する施策を重視して投資しています。
まず、ファッション雑誌や美容系雑誌に絞って雑誌付録のタイアップを3社ほど続けています。しっかりとリッチなコンテンツで商品理解を深めながらサシェをサンプリングで配り、まずはトライアルを促進させています。
progistaは、開発にあたり美容家・皮膚科医・理容師の方々とコラボレーションを行っており、彼らを対談記事等のコンテンツにも起用することで、プレミアムなプロフェッショナルブランドとしての信頼性を確立しています。
デジタル施策では、インフルエンサーと連携し、リッチな動画で商品理解を深めています。若年層や女性と異なりリーチが難しいターゲットのため、インテリア系やスポーツ系など幅広いジャンルのインフルエンサーとトライ&エラーを重ねてきましたが、やはり美容系、特に髭がおしゃれな美容インフルエンサーは親和性が高く、最も効果的でした。今後は、この領域にさらにフォーカスしていく予定です。