老舗百貨店のマーケティングソリューション「明日見世」とは
──まずは、三省製薬の事業概要と展開されているオリジナルブランドについて教えてください。
藤井(三省製薬):三省製薬(本社:福岡県大野城市)は、創業130年の歴史をもつ、美容成分の研究開発に取り組んできた製薬会社です。代表的な成分「コウジ酸」は、日本で初めて医薬部外品の美白有効成分として承認されました。主に美容成分の開発や化粧品・化粧品原料のOEM、自社ブランドも展開しています。

藤井(三省製薬):自社ブランドは、エイジングケアブランド「DERMED(デルメッド)」、地域貢献をテーマに掲げる産官学連携により開発したスキンケアブランド「yameKAGUYA(やめかぐや)」、ジェンダーフリーの“色づき美容液”「IROIKU(イロイク)」の3つとなります。
──続いて、大丸東京店の「明日見世」について教えてください。
和田(明日見世):明日見世とは、大丸松坂屋百貨店が運営する「複合型体験ストア」です。通常のポップアップストアより長い、3ヵ月サイクルで商品・ブランドを入れ替え、中長期にわたってお客様との出会いを創出しています。接客や売り場づくり、在庫管理などは大丸松坂屋百貨店のリソース・ノウハウを活用し、企業様の負担を最小限に抑えながら百貨店進出にトライしていただけます。

和田(明日見世):2021年のオープン以来、304ブランドが出品、出品満足度89%、再出品意向74%(※取材時点)と高い評価をいただいています。
オンライン施策の手応えのなさが課題だった
──三省製薬は、明日見世でどういった施策を展開されているのでしょうか。
藤井(三省製薬):明日見世には2021年から3度出品し、2024年9月のリニューアル時からは1年間、プレミアムプランという最上位のプランで継続出品しています。
和田(明日見世):プレミアムプランでは、専任のアンバサダー(店頭スタッフ)による質の高い接客や、商品の魅力を最大限に引き出す専用区画での特別なVMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング:売り場づくり)、大丸松坂屋百貨店のアプリやレシートを使ったクーポンやアンケート施策の提供など、百貨店ならではのノウハウをフル活用したサポートを提供しています。また、出品後は接客を通じて得られた、顧客インサイトを記載したフィードバックレポートをお渡ししています。
三省製薬様では「東日本でのブランド旗艦店」の位置づけで、長期的に「明日見世」を活用いただいていますね。

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──明日見世に出品する以前は、どういったマーケティング課題があったのですか?
藤井(三省製薬):SNS広告を中心に、インフルエンサー投稿、アンバサダー企画など幅広くオンライン施策を展開しています。情報量の多いオンライン市場の中では、ブランドの独自性を伝えて、認知向上から購買行動につなげることが年々困難になっていると実感しています。
特に、「IROIKU」は“色づき美容液”という新しいコンセプトの商品なので、実際の使用感や使用シーンなどをお客様にイメージしていただくことが難しく、デジタルだけで商品価値を伝えることに課題を感じていました。
和田(明日見世):また三省製薬様は、歴史、130種類以上の独自美容成分開発、医薬部外品有効成分の第1号取得など、伝えたい企業価値が豊富にある企業様です。
藤井(三省製薬):ええ。知ってもらいたいことはたくさんあるのに、広告や活字だけではすべてを伝えきれません。そういった背景から、発信力と影響力がある新たなリアルのタッチポイントを探していました。