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X DIVE2025レポート(AD)

なぜDECORTÉは過去最高売上を記録? EC×OMO戦略の成功要因と体験設計フロー

 近年韓国コスメに人気が集まるなか、2024年にEC・百貨店・化粧品店を含めたブランド全体実績において過去最高売上を上げた化粧品ブランドがある。KOSÉ(コーセー)のハイプレステージブランド「DECORTÉ」(デコルテ)だ。ブランドのEC立ち上げは2021年と早くはないが、顧客IDを基に「あらゆるタッチポイントの顧客体験を“高度化”することでLTV最大化を目指す」というビジョンの下、店頭とオンラインで同質の体験を提供するための取り組みを開始。その効果は如実に表れ、実績にも結び付いたという。そんなブランドの取り組みについて、コーセーのEC事業を手掛けるコーセープロビジョン 代表取締役 命尾泰造氏と、取り組みを支援したプレイド Sales Team Sales Manager 内山正信氏が、7月24日に開催されたカンファレンス「X DIVE」で語り合った。

顧客IDを軸にOMO戦略を推進

 2015年前後、注目されたキーワードに「爆買い」がある。これは日本を訪れる中国人観光客による家電や洋服、日用品の大量購入のことを指し、この現象のなかで人気だったのが化粧品だ。「需要に対応すべく生産工場をフル稼働していましたが、商品が欠品してしまうこともありました」と、コーセープロビジョン 代表取締役 命尾泰造氏は振り返る。

株式会社コーセー 執行役員 マーケティング戦略部長 コーセープロビジョン株式会社 代表取締役 命尾泰造氏
株式会社コーセー 執行役員 マーケティング戦略部長
コーセープロビジョン株式会社 代表取締役
命尾泰造氏

 コーセープロビジョンは、化粧品メーカーである(株)コーセーのBtoC領域を担う販売会社だ。銀座と原宿にある直営店のほか、自社ECサイトの運営に当たっており、売上の大部分がEC経由だという。

 コーセーを代表するハイプレステージブランド、「DECORTÉ」(デコルテ)は1970年に誕生。大谷翔平選手の広告で話題の「リポソーム アドバンスト リペアセラム」をはじめ、スキンケア・メイクアップからヘア・ボディケアなど幅広い商品をそろえている。手に取っていただくすべての方に「誇りある美」をお届けするという想いの元、独自の感性工学と再生医療の考え方を取り入れ、最先端の皮膚科学研究を融合させたイノベーティブなものづくりを行うことで、多くのユーザーに支持されている。

 そんなブランドを擁するコーセーは昨年11月、2026年に創業80周年を迎えるに当たり、「Vision for Lifelong Beauty Partner―Milestone2030」と呼ばれる中長期ビジョンを発表した。“Your Lifelong Beauty Partner”という理念の下、国内外で新しい顧客との出会いを創出し、顧客に寄り添い続けていくため、すべてのステークホルダーと互いに高め合う関係性を構築する「KOSÉ Beauty Partnership」という価値観を定めている。

 こうした理念の下、命尾氏が進めている取り組みが、ドラッグストアや百貨店などの店舗はもちろん、EC、そしてメールやDM、LINEなどのコミュニケーションや、デバイスの違いも含めて「あらゆるタッチポイントの顧客体験を、KOSÉ IDの活用により“高度化”することで、お客様のLTV最大化を目指す」というもの。ID登録とともにデータの蓄積が始まったのは2021年のことで、2024年以降から本格的な分析・活用フェーズをスタートさせている。

コロナ禍を経て、OMOの実現に向けて動き出す

 コーセープロビジョンの取り組みを支えてきたのが、データによる顧客体験価値向上を支援するプレイド Sales Team Sales Manager 内山正信氏だ。

株式会社プレイド Sales Team Sales Manager 内山正信氏
株式会社プレイド Sales Team Sales Manager 内山正信氏

 内山氏も新卒で大手化粧品会社に入社してから15年間化粧品業界で過ごしており、データ分析を行うなかで「お客様の購買体験が時代とともに変化していると感じる」と語った。

 内山氏が「より詳しい取り組み内容を教えてください」と促すと、命尾氏はうなずき、次のように続けた。

 コーセーに限らず、一般的にメーカーは小売店や量販店、百貨店など流通事業とのBtoB取引がメインだ。エンドユーザーに直接製品を届けるEC分野への進出は遅れを取っている企業も多く、「オンラインやITでお客様とつながるという発想はあまりありませんでした」(命尾氏)という。

 しかしコロナ禍でデジタルシフトが進むなか、リアルとデジタルを往来するO2O(Online to Offline)から、オンラインのなかにオフラインのリアルを取り込むOMO(Online Merges with Offline)というデジタル前提の社会へと大きく変化してきた。そこでコーセーとしても、「後発ながらOMOを実現したいという流れが生まれてきました」(命尾氏)という。

 そのOMO実現の核として設計したのがKOSÉ IDと呼ぶ顧客IDだ。

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「KOSÉ ID」をブランド・チャネル横断の核に

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社プレイド

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/11/21 11:00 https://markezine.jp/article/detail/49598

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