デザイナーとすれ違ってしまう根本的な原因
ユーザーに寄り添い、彼らの視点で考えているはずなのに、なぜかデザイナーと意見が噛み合わない……。成果に貪欲なマーケターほど、そんなもどかしさを感じた経験があるのではないでしょうか?
ユーザーにとってベストな体験を提供し、ビジネス成果を出すことを目標にさまざまな施策を検討する。これは優秀なマーケターほど理想としている成果の出し方です。なのに、デザイナーから「その施策はユーザーの体験を悪くするので実施すべきではない」「過剰な訴求はユーザビリティを損なう」と言われ、何か自分が間違っているような感覚に陥る。これは、決して珍しいことではなく、ビジネスの現場で散発していることです。
マーケターとデザイナー。顧客への価値提供という共通の旗印を掲げながらも、なぜか頻繁にすれ違い、時には衝突してしまう――この「共創の溝」は、多くの企業でビジネス成長を妨げる要因となっています。
しかし、もしその溝が、シンプルな「視点のズレ」によって生まれているとしたらどうでしょうか? そして、そのズレを埋める鍵を、実はマーケターも持っているとしたら?
デザインが単なる「見た目」ではなく、戦略的な「顧客体験の設計」であると理解した時、デザイナーとの関係は「ビジネスを共創するパートナー」へと進化します。
本稿では、なぜマーケターとデザイナーの間にすれ違いが生まれるのか、その根本原因を深掘りし、マーケターが身につけるべき「UX視点」と、デザイナーへの伝え方の工夫によりコミュニケーションを円滑にし、最終的にビジネス成果へと結びつけるコツを具体的に解説していきます。
実は「ペルソナ」の意味合いからズレている?
マーケターとデザイナーの間で解釈や視点の違いが出やすいものとして、代表的なのは「ペルソナ」でしょう。
マーケターが描くペルソナは、ターゲットユーザーを明確にし、広告や販促活動を最適化するためのもの。年齢・性別・年収・ライフスタイルなど、属性を詳細に設定し、「この人にどう届ければ、刺さるのか」を考えます。

一方、デザイナーが作るペルソナは、ターゲットユーザーの日常や感情に寄り添うためのツールです。たとえば、ある商品を手に取るまでに、どんな悩みを抱え、どんな情報を探し、どんなきっかけで背中を押されるのか。その過程をていねいに想像しながら設計します。