AIスタートアップで全社のマーケティングを担う

野崎:広告・マーケティング・インターネットサービス業界では、事業会社への転職を望むマーケターが多くいらっしゃいます。しかし、私がこれまで多数の転職支援を行う中で感じるのは、「自身の特性や相性を見誤ると早期離職につながるリスク」です。
今回は、支援会社の部長職からスターバックス コーヒー ジャパン(以下、スターバックス)で事業会社マーケターに転職後、1年で退職し、現在はFLUXに所属する八木さんに話を伺います。どのような人が大手事業会社にマッチするのか。私の見解も踏まえながら探っていきます。まず、FLUXと現在の業務内容について教えていただけますか?

【写真右】株式会社FLUX 全社戦略本部 八木冴香氏
八木:FLUXは、AIトランスフォーメーション(AX)を推進するスタートアップです。人材紹介サービス、AIコンサルティングサービス、メディア・マーケティング支援サービスの3サービスを展開しています。私は全社戦略本部に所属し、全社の事業のマーケティングを担当しています。
野崎:具体的には、どのような業務を担当されているのでしょうか?
八木:弊社は事業部ごとにマーケティング部門を設けず、全社戦略本部で一括して担っています。そのため、HR領域のBtoCマーケティングやエンタープライズ向けのBtoBマーケティングなど、対応領域は多岐にわたります。また、マーケティングだけでなく広報まで幅広く手がけています。
野崎:自社のマーケティング・広報を組織横断で推進しているのですね。一括してマーケティングを担うということは、通常は人事部門が行う採用の集客施策も、八木さんの所属する部署で対応しているのですか?
八木:はい。採用マーケティングも私たちが人事と一緒に担当しつつ、可能な限り人事は面接に集中できる体制を構築しています。
野崎:非常にユニークな体制ですね。私は日々、広告・マーケティング・インターネットサービス業界の企業・人材をマッチングさせる支援を行っており、様々な企業の職域を理解しているつもりです。それでも、採用戦略立案や母集団形成の具体的なアクションといった支援を、自社のマーケティング部門が担う事例は初耳です。
新卒で歩合制の営業を選び、3年で課長に昇進
野崎:八木さんのキャリアの土台を探るために、学生時代のお話から聞かせてください。バレーボールで広島県の強豪校に入学し、本格的に活動していたと伺っています。きっと、バレーボールで培った精神力が、今までのキャリアに活きているのではと想像します。
八木:そうですね、メンタルは強い方だと思います(笑)。昭和生まれの方々の指導の下、結構泥臭く取り組んでましたね。
野崎:就職活動では広告業界を志望されたと伺っています。その中で、なぜ「ファインズ」を選んだのですか?
八木:ファインズを選んだ理由は、自身の成果に対して直接的な対価が得られるからです。就職活動では、広告代理店に入社し、プロジェクトオーナーとして事業を立ち上げるという選択肢もありました。しかし、私は成果を追求することを好む性格なので、結果が給与に反映される「歩合制」の環境をファーストキャリアで選びました。地方出身として東京で自立する必要があったことも、判断材料の一つです。
野崎:メンタルの強さがキャリア選択にも表れていると感じました。実際には、どのような業務を担当されていたのですか?
八木:営業として店舗向けの広告と予約システムを販売し、3年で課長に昇進しました。
野崎:ベンチャーで順調なキャリアを築かれている印象ですが、なぜ第2新卒フェーズで転職されたのでしょうか?
八木:営業以外の専門性を高めるためです。ファインズで営業スキルが向上するにつれて、「他領域の知見も身につけたい」という思いが生まれました。そのため、さらなる成長を求めて転職を決断しました。