AI時代、コンテンツマーケティングは戦い方が大きく変わる
MarkeZine:AIによる情報収集が当たり前のものとして浸透し、BtoBマーケティングにも大きな変化が生じています。今回は特に大きな影響を受ける「コンテンツマーケティング」にフォーカスし、お話をうかがいます。まず、小林さんは従来のBtoBコンテンツマーケティングにはどのような課題や限界があると考えていますか?
小林:従来のBtoBコンテンツマーケティングは、ホワイトペーパーや事例記事などの「読み物」が主流でした。しかし、なかなかCV増加や質の高いリード獲得に結び付かず、コンテンツの更新も停滞しがちです。
ソフトウェア領域に関しては、日本国内だけで1万種以上の製品が存在していると言われています。比較検討中のユーザーが「とりあえずDLしただけ」「読んでもよくわからない」となってしまうのは、想像に難くありません。機能差のみならずサポート体制や将来性といった無形価値を文章で伝えるのは難しく、似通った構成・表現が差別化を阻害します。
結果、判断の先延ばしや営業担当の人柄などによる選定が起き、製品の価値が十分に届かないという「認識ギャップ」が生じるのです。私たちはこのギャップこそBtoBマーケティング最大のボトルネックと捉えています。

上智大学法学部卒業後、フリー株式会社に新卒入社。初期配属のインサイドセールスチームで、50名中トップの成績を残した後、事業戦略として計画/戦略の策定から実行までを担当し、所属した全期で目標達成。その後モバイル版freeeのビジネスオーナーとして、YoY300%の成長を牽引。その際、プロダクトを活用した顧客コミュニケーションのインパクトを知ると同時に実行ハードルの高さに大きな課題感を持った。誰もがテクノロジーの進化を喜びとして迎え、自然に共生できる未来の実現を目指し、2019年にPLAINERを創業。
MarkeZine:AI時代、そうした従来の課題はどのように変化するでしょうか?
小林:生成AIの活用により、コンテンツマーケティングにおけるマーケターの業務は大幅に効率化されつつあります。ただ一方で、ユーザー側もAIを日常的に活用しており、情報収集の環境が変わっていることを無視してはなりません。検索行動にAIが組み込まれるようになり、ただ閲覧数を稼ぐ従来型コンテンツは現に通用しづらくなっています。
既に、現在のユーザーは、営業担当者と接触することなく購買プロセスの8割以上を完了させ、もはや従来のマーケティングファネルを辿らないそうです(出典)。この「AI主導の発見」時代においては、検索エンジンやAIに「価値が高いコンテンツである」と評価してもらえるか、推薦される質と多様性を担保できるかが鍵となります。
MarkeZine:BtoBコンテンツマーケティングは「AI」を対象者として意識することが、必須になっているのですね。
小林:そうです。AIの推薦枠に入れるか否かが事業成長を左右する時代と言えるでしょう。テキストの大量生産だけではWeb上で差別化できず、人にもAIにも「本当に伝わるか」がコンテンツマーケティングの勝負となっています。
予告:MarkeZine DayにPLAINER小林大氏が登壇
9月10日・11日に開催するマーケティングイベント「MarkeZine Day 2025 Autumn」に、PLAINER 代表取締役の小林大氏が登壇。『もうファネルで顧客を“待つ”のはやめよう。AIが“連れてくる”時代の「体験」設計術。』と題し、より具体的に体験軸のBtoBマーケティング実践に向けたポイントを解説します。
セッションの詳細をチェック・事前登録の上、ぜひご来場ください。
