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グローバルの風向き、トレンドを知る。海外カンファレンスレポート

「匿名化データなら安全」はもう古い。AI活用とプライバシー対応から読み解く次世代の測定戦略

プライバシー規制時代の測定設計思想

(左から:メブルリン・フランシスコ(WPPメディア/EVP, データプロダクト・インサイト&プランニング担当)、ジョエッタ・ゴベル(DotDash Meredith/SVP, データ戦略&インサイト担当)、アレックス・キャッシュ(OneTrust/コンセント・プリファレンス部門 戦略ディレクター))
左から:メブルリン・フランシスコ(WPPメディア/EVP, データプロダクト・インサイト&プランニング担当)、ジョエッタ・ゴベル(DotDash Meredith/SVP, データ戦略&インサイト担当)、アレックス・キャッシュ(OneTrust/コンセント・プリファレンス部門 戦略ディレクター)

 セッション「From Policy to Practice(法規制を測定実務へ落とし込む)」では、CCPA施行後の混乱やFTCからの警告事例を通じて、データプライバシー対応の現場で起きている変化が共有されました。特に重要だったのは、「データクリーンルームもプライバシー法の適用対象である」という明確な指摘です。

 多くの企業が「匿名化されたデータであれば法的リスクはない」と考えてきましたが、欧州では“完全な非識別化は実質的に不可能”という前提が広がりつつあります。つまり、匿名化や非識別化だけでは不十分で、そもそも「何のためにどれだけのデータが必要か」を問い直す必要があるのです。

 また、データクリーンルームやAIも「魔法のボタン」ではありません。特にリテールネットワークでは、目的やコスト対効果を慎重に評価し、段階的にオペレーション測定へ移行する事例が増加しています。導入が自己目的化してしまうリスクを避けるためにも、「少なく、深く」の設計思想がこれまで以上に求められています。

その測定に仮説はあるか?未来に向けた測定原則の再構築を

左から:マイケル・ハーン(IAB/IAB Tech Lab エグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 法務顧問)、メブルリン・フランシスコ(WPPメディア/EVP, データプロダクト・インサイト&プランニング担当)、ジョエッタ・ゴベル(DotDash Meredith/SVP, データ戦略&インサイト担当)、アレックス・キャッシュ(OneTrust/同意・プリファレンス部門 戦略ディレクター)
左から:マイケル・ハーン(IAB/IAB Tech Lab エグゼクティブ・バイスプレジデント 兼 法務顧問)、メブルリン・フランシスコ(WPPメディア/EVP, データプロダクト・インサイト&プランニング担当)、ジョエッタ・ゴベル(DotDash Meredith/SVP, データ戦略&インサイト担当)、アレックス・キャッシュ(OneTrust/同意・プリファレンス部門 戦略ディレクター)

 AIやプライバシー対応といった技術的進化に目を奪われがちですが、セッション「From Policy to Practice」の全体を通じて繰り返し強調されたのは「測定はリサーチである」という基本原則です。測定はあくまで学習の一環であり、その成果を意思決定にどう結びつけるかが本質です。

 仮説を立てずにデータを収集しても、活用されずに終わる可能性が高い。むしろ「なぜ測るのか」「どの仮説を検証したいのか」という設計思想こそが、測定の価値を左右します。

  日本の現場では、定期レポートや広告指標のモニタリングに留まる傾向がありますが、これからの測定には「問いの質」「意思決定との接続性」「最小限データで最大限の示唆を導く設計力」が求められます。

 測定はもはや“後工程”ではなく、戦略の前段階に組み込まれるべき「設計行為」です。AI活用もプライバシー対応も、そのための思考再設計から始まる――本サミットは、その事実を改めて浮き彫りにしました。

 後編では、「メディア横断での効果測定(MMM)の再設計」「データ依存からの脱却を可能にする“人間中心”の測定文化」という視点から、「2025 IAB Measurement Leadership Summit」のセッションをピックアップしてレポートします。

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菊池 満長(キクチ ミツナガ)

大手ネット広告代理店に新卒で2006年に入社し、一貫して広告運用に従事。
緻密な広告運用をアルゴリズム化し、誰もが高い広告効果を得られるようShirofuneを2014年に立ち上げ。
2016年7月に国内No.1を獲得し、2022年までに国内シェア91%を獲得。
2023年から海外展開をスタートし、現...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2025/09/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49765

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