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MarkeZine Day 2025 Autumn

マーケティング最新事例 2025

この猛暑に企業は何ができる?花王主催の「原宿-3℃はじめました。プロジェクト」に学ぶ“共創”の意義

共創ならではの価値がある一方で、関係者間の調整の壁も

MarkeZine:原宿-3℃プロジェクトでは「共創」の意義をどう感じましたか?

葉田:弊社はマーケティングにおいて「共創」を強化しています。これは、花王一社で何かを行うよりも、複数の会社と一緒になることで、より伝えたいことが伝わりやすくなる、価値を届けやすくなるという考え方に基づくものです。原宿-3℃プロジェクトでは、まさにこの共創の意義を実感しました。

 期間限定でハラカド~渋谷マークシティ間を運行した-3℃の謎を解く「謎解きバス」の企画がまさによい例です。これは単に涼しいバスを運行するのではなく、そこに謎解きという“体験”を掛け合わせたエンタメ性の高い企画で、事前予約制の乗車枠が早々に満席になるほど好評でした。このエンタメ性は、きっと花王メンバーだけで企画をしていたら出てこなかったと思います。

謎解きバスの中の様子
謎解きバスの中の様子
乗客は額にジェルパックをはりながら、謎解きにチャレンジ
乗客は額に冷感ジェルパック(貼る炭酸 ジェル パック)をはりながら、謎解きにチャレンジ

 具体的には、花王の「冷感ジェルパック(貼る炭酸 ジェルパック)」でシャキッと冴えつつ、「冷却シート」で冷やしながら、バスに乗っている30分の間に乗客のみなさんと協力して、謎を解き切るというチャレンジ型のアトラクションを実施しました。SNSでも200件以上のUGCが生成されるなど、話題化にもつながりましたね。

MarkeZine:共創したからこそ創出できた価値もある一方で、各社との調整やコミュニケーションコストなど、大変な部分もあったのではないでしょうか。

葉田:そうですね。「生活者の快適な過ごし方を提案したい」という共通の思いがあったため、多くのパートナーが前向きに参加して下さりましたが、当然それぞれの企業や団体で目的が異なるため、一つにまとめるのは大変でした。

MarkeZine:そこを乗り越えるためのポイントは何でしたか?

葉田:まずは、参加企業それぞれのゴールを事前に共有しておくことが重要だと感じました。きれいごとだけではプロジェクトは進みません。それぞれ目的を持って参画されているので、各社で目的を共有し合うことが大切です。その上で、「原宿の夏を快適にしたい」などより上位の共通目標を共有すると、関係者内での目線合わせがさらに進むと思います。

 今年は花王がハブとなり、各パートナーと一対一で対話を進める形式が主でしたが、今後は参加者全体が対話の輪に入り、協力し合えるような形を目指したいですね。

プロジェクトのマーケティング効果は?

MarkeZine:原宿-3℃プロジェクトのマーケティング効果を、どのように捉えていますか?

葉田:プロジェクトで-3℃体験をしていただいた約500名にアンケートを実施したところ、8割以上が「花王に対する好感度が上がった」と回答されました。花王としてのブランディングとして非常に良い結果で、定量的な観点で見てもしっかり費用対効果を担保できる取り組みになったと考えています。

 他にも副次的な成果として、インナーブランディングへの寄与があります。メーカー企業の場合、どうしても生活者との接点が商品を通じたものになりがちです。このプロジェクトを通じて、商品の先にいるお客様と直接接点を持ち、コミュニケーションを取れたのは私たちにとって非常に有意義なことだったと感じています。現場で嬉しいお声をたくさんいただき、「花王の社員で良かった」と仕事に対するモチベーションが高まったメンバーもいました。

 さらに、社外の方からも「来年は一緒にやりたい」という声が多数寄せられており、プロジェクトが雪だるま式に大きくなっていく好循環が生まれようとしています。花王だけでなく、他社のみなさまも「猛暑」という問題に対してアクションを起こしたいという思いを持ちだったようです。

MarkeZine:では、来年以降のプロジェクトも楽しみにしております。最後に今後の展望をお聞かせください。

葉田:今回の取り組みでは、サンプリングなどのマーケティング施策だけでなく、原宿の小中学校で熱中症対策講座を開くなどの啓発活動も実施しました。これは弊社が大事にしている「サステナブルなライフスタイルを後押しする」を体現するようなアクションですので、来年以降も継続していきたいと思っています。

 夏の暑さは年々深刻な問題となっています。原宿-3℃プロジェクトには、社内外から本当に大きな反響をいただき、社会で求められている取り組みなのだと強く実感しました。こういったプロジェクトは、継続することで価値が蓄積されていくような側面もあるので、来年以降もぜひ続けていきたいと思います。

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MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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MarkeZine(マーケジン)
2025/09/16 09:00 https://markezine.jp/article/detail/49781

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