カゴメ事例:「ゲーマーも健康で健やかに」新たな顧客層を開拓
カゴメの「野菜生活100スムージー」の事例は、eスポーツマーケティングによる新規顧客層開拓の好例だ。
オリジナルのYouTube動画制作では、SCARZの選手が出演し、ゲームやeスポーツに携わる人が健康で健やかに過ごしてほしいというメッセージを発信した。次に百貨店で行ったイベントでのサンプリング。リアルの場でeスポーツやゲームファンに直接製品を届けることで、ブランド体験を創出した。第三にSCARZ CUPへの協賛で200名へのプレゼント企画を実施した。
特筆すべきは、ファンコミュニティ内でのUGC創出だ。「#SZWIN」というチームタグを活用したSNSキャンペーンでは、「カゴメありがとう」「いつもゲームやる前にカゴメを飲むようになった」「#KAGOMEスムージー乾杯界隈 」といったファンの声が自然発生的に広がった。
フィリップス事例:若年層へのリーチと関心獲得を実現
さらに、フィリップスの男性向けシェーバー「S9000」の事例を紹介する。本施策は、同製品を若年層に訴求する狙いがあった。実際の施策では、キービジュアルやコンセプト動画でキャンペーンの統合クリエイティブを制作。大丸東京店のイベントや東京駅での広告出稿を行う一方で、SNSコンテンツやプレゼント企画、デジタル広告で顧客との接点を獲得した。
特徴的だったのは、ドライビングゲームとの世界観と製品を融合させたクリエイティブだ。SCARZのCGクリエイトソフトを扱う映像制作スタッフが、オリジナル動画を0から制作した。
SCARZでは企画から実行、検証まで一貫した支援体制を取っており、案件ごとにレポーティングを内製で行い、効果測定を実施。インプレッション数、エンゲージメント数といった定量指標に加え、ファンの反応やUGCの質的分析も含めた包括的な評価を提供している。
eスポーツマーケティングの本質は「熱狂の共創」
SCARZの取り組みから見えてくるのは、eスポーツマーケティングの本質が単なるスポンサーシップではなく、ファンコミュニティとの熱狂の共創にあることだ。
eスポーツマーケティングでは、ファンの熱量を理解し、コミュニティの文化を尊重しながら、ブランドメッセージを自然に浸透させていく繊細なアプローチが求められる。3つの壁を乗り越えるには、eスポーツチームという媒介者を通すことが強力な一手となる。島袋氏は講演の最後に、こう呼びかけた。
「皆さんの会社にとって、eスポーツは伸びしろです。この市場にはチャネルとしての可能性がありますから、ぜひSCARZを含め一度どこかのチームと組むことを検討してみてください」(島袋氏)
