三井ダイレクト損保のSEO施策が成果を出せた理由とは?
MZ:成果につなげるポイントはどういったところにありますか。
横田(三井ダイレクト損保):SEOは他のマーケティング施策と異なり、検索エンジンのアルゴリズムに依存するため、施策の方向性を判断することが難しい面があります。
セプテーニ社、デライトチューブ社、プリンシプル社には、詳細な調査を実施いただいた上で、改善策を提案いただきました。それらの施策を可能な限り実行し、その結果を踏まえて粘り強く改善を重ねたことが、今回の成果につながったポイントだと考えています。
またSEOを含むSEM(検索エンジンマーケティング)も昨今、環境変化が大きく、動向を注視することが必要です。顕在化した課題への対応も重要であるものの、動向を的確に読み、方針を都度見直しながら先手を打つことはさらに重要と考えています。
池﨑(三井ダイレクト損保):別の観点で言うと、施策の実行プロセスの品質も今回の成果につながる重要な要素だったと思います。
SEOでは色々と施策を実行しても、成果が上がらないことが多々あります。そういった状況でも着実に取り組みを継続していくことが求められ、その際にプロセスの品質が問われるものと考えています。事業者の観点から特に重要だと感じるのは、パートナー企業との信頼関係、自分たちの取り組み姿勢の2点です。
まずパートナー企業との信頼関係については、双方の対応の品質や妥当性の積み重ねはもちろん、気になることがあった時にお互い忖度なく議論できるか、率直な意見を交わせるような関係性ができているか、といった側面も非常に重要です。
そしてもう一点は、考えることをパートナー企業に丸投げしないこと。事業者側である自分たちもしっかり考えて議論し、納得した上で実行していく姿勢が大切です。そうすることで要所での判断がしやすくなりますし、SEO施策全体をより建設的な取り組みにしていけるはずです。
これからSEOはどうなるか。AIOへの戦略と展望
MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。
横田(三井ダイレクト損保):現在のSEO施策も重要ですが、AIプラットフォームへの対応も積極的に推進していきたいと考えています。社内でもSEOにAIO(AI最適化)の視点を加えた方針策定を進めています。
環境や消費者の検索行動の変化にともない、事業会社のWebサイトに求められる情報も変化しています。特に近年はAIプラットフォームの登場により、消費者の検索行動がキーワードベースからニーズベースへとシフトしています。現在、当社商品・サービスのビッグキーワード検索順位は従来より高い水準にありますが、私たちも早い段階から従来型のSEO施策に加え、次のステップへの移行を進めてきました。
SEO施策で培った経験や知見を活かしながら、AIに最適化した新たな取り組みをさらに推進していきたいと考えています。
池﨑(三井ダイレクト損保):従来のWeb検索と比較して、AI検索は生活者の本来の目的によりフィットした体験を提供するものになると考えており、AI検索への移行は遅かれ早かれ進むと予想しています。Webサイトの自然流入は当社にとって重要なチャネルですので、この変化を見て見ぬふりせず検討と対応を進めていきます。
AIOにはこれまでのSEOの延長線上にある部分と、そうではない部分が混在してくるでしょう。今後の動向や環境を予測し、その中で自分たちがどうありたいかを改めて考えつつ、実行に向けて準備しているところです。
外山(プリンシプル):今後の変化の的確な予測は難しく、試行錯誤を繰り返しながら前進するしかありません。テクニカル面では、Google以外にもChatGPTやPerplexityなどのAI検索エンジンへの対策に加えて、ユーザーの検索行動が実際にどのように変化していくかの観察が必要です。また、適切にPDCAサイクルを回すには効果測定が不可欠です。そのため、試験的なデータ取得から始めることも重要と考えます。このチームなら、AI時代の新しい検索の世界でも着実に前進できると思います。
江口(デライトチューブ):変化し続ける状況だからこそ、地道な従来のSEO施策を継続していく必要があります。AIO戦略の基盤にもつなげるべく、こうした泥臭い積み重ねを続けていきます。ユーザーがAIで情報を取得した際に、最終決定を後押しできるコンテンツを追求し、取り組みをさらに深化させていきたいと考えています。
高橋(セプテーニ):引き続きSEO施策を継続しつつ、AIOに対する打ち手やKPI設定を現在議論しています。刻々と状況は変化していますが、一つひとつ課題を解決しながらAI対策を推進し、三井ダイレクト損保社の売り上げに貢献できるよう今後も伴走していきたいと思います。

