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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

MarkeZine Day 2025 Autumn

カンロとZENBが明かす、事業を成長させる「インサイト」の見つけ方・育て方

 多くのマーケターが「重要だ」と理解しつつも、その発見や活用に頭を悩ませる「消費者のインサイト」。一体どうすれば事業成果に直結するインサイトを見つけ出せるのか。2025年9月に開催されたMarkeZine Day 2025 Autumnでは、グミブームを牽引するカンロの内山妙子氏とグルテンフリー・糖質オフの“豆でできた新主食”を中心に展開するZENBの田中保憲氏が登壇。ブランドマーケティングやカテゴリー戦略などに詳しいsuswork代表の田岡凌氏が聞き手となり、成功の裏側にあるインサイトの活用についてうかがい、新価値/新顧客を創造するためのヒントを探った。

“グミブーム牽引”のカンロと“新主食を増やす”ZENB

 カンロは大正元年創業、113年の歴史を持つ企業で、キャンディとグミに特化した事業を展開してきた。スーパーやコンビニでの販売のほか、直営店「ヒトツブカンロ」をはじめ、コミュニティの運営などを通して様々な取り組みを実施。直営店専用商品として挑戦した「グミッツェル」なども話題を呼び、グミ・飴を含むキャンディの市場が伸長する中、売上・利益の過去最高を更新している。

 一方ZENBは、1804年創業のミツカングループからD2C事業として2019年に立ち上がったブランドだ。ミツカンは本来捨てられる酒粕を酢の原料として活用するなど、創業時からサステナブルな事業を展開していた。この精神を受け継ぎ、人と社会と地球の健康に貢献しようという強い思いで作られたブランドがZENBだという。通常食べられていない部分、これまで捨てられてしまっていた部分まで丸ごと「全部」活用するブランドコンセプトのもと、サステナブルでプラントベースの商品を展開。「ZENB ヌードル」や「ZENB ブレッド」を中心に、累計3,000万食を突破している。

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(写真左から)カンロ株式会社 常務執行役員 マーケティング本部長 内山 妙子氏
株式会社Mizkan Holdings マーケティンググループ ZENB事業ブランドマネージャ 田中 保憲氏
suswork株式会社 代表取締役 田岡 凌氏

戦国時代のグミ市場 ピュレグミが成長した鍵は?

 著しい成長を遂げ、マーケティング面でも注目を集めているカンロとZENBだが、事業成長の鍵となったインサイトはどのように発掘したのだろうか。

 カンロは「ピュレグミ」と「グミッツェル」を例に説明した。

 1つ目のピュレグミは、元々子ども向け市場が主だったグミを、F1層(20~34歳の女性)にターゲットをシフトして大人向けに発売しようとした商品だ。F1層の最も多い話題が恋に関することというデータがあったため、2012年に「恋の味」をコンセプトとして発売した。

 「インサイトは『かわいいものに心ときめく気持ちは、人生を通じて変わらない』です。かわいいものに心ときめく気持ちは変わらない一方で、なかなかときめく場面がないこともあるでしょう。大人になればなるほど、ときめく気持ちを抑えながら日々を送っている方も多くいらっしゃいます。2022年以来、『ハートをあげるひと粒』をベースとしたコミュニケーションメッセージを展開しています」(内山氏)

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 もちろん、事業は常に順調だったわけではない。内山氏が「毎週のように新商品が出ている戦国時代」と語るように、グミ市場の競争は激しく、ピュレグミも何度か踊り場を経験したという。

 この状況を打破し、再成長する大きなきっかけとなったのが2021年のリブランディングであった。バリエーション豊かなカラフルパッケージなどで情緒価値を強化し、ユーザーの気分に寄り添ったコミュニケーションを設計。「暗い時代に少しでも明るくなりたい」という当時の人々のインサイトに対し、ピュレグミの存在が強く響いたと分析する。

 塞ぎ込みがちな日常の中で、ピュレグミが発売当初から大切にしてきた「かわいいものに心ときめく気持ちは変わらない」という普遍的なインサイトや、「ハートをあげるひと粒」というメッセージが、小さな喜びや癒やしを求める人々の心と特に強く共鳴し、成長を後押ししたのだろう。

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ASMRで話題!コンテンツになれるお菓子「グミッツェル」

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/10/16 08:00 https://markezine.jp/article/detail/49877

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