AIで広告予算の23%を効率化、中小企業はどこにAIを使っている?
実際にAIを活用している企業では、顕著な結果が表れ始めている。伊勢谷氏は「AIがもたらす具体的な効果と可能性」について、予算削減の効果が期待できることを強調した。
調査結果によると、AIツール導入によって期待できる広告予算の削減効果は23%。月間100万円の広告予算であれば、23万円の効率化が見込める計算となる。なお、この数値にはクリエイティブ制作費や人件費も加味されている。
また、AIツール導入効果は単なるコストカットにとどまらない。実際にAIツールを導入・検討している企業の77%は「広告キャンペーンのパフォーマンスの向上を確信」し、98%が「今後1~2年でAIがビジネスに影響をもたらす」と予測。「予算を削減しながら広告パフォーマンスを向上させる」という事業者にとって理想的な状況が、既に現実になりつつある。AIは一時的なトレンドではなく、ビジネスの成長に欠かせない重要なツールとして存在感を強めていると言えるだろう。
では、具体的にどの領域で効果が期待されているのか。調査では、「ビジュアル作成」「インサイト分析」「広告コピー作成」が上位に挙げられた。これまで外注や多大な工数を要していた領域をAIが支援することで、少人数のチームでも高品質なアウトプットが期待できる。

人員増加なしでの業務拡大、市場トレンドへの迅速な対応、新規オーディエンスの開拓、マーケティングROIの改善など、AI活用によって広がる可能性は大きい。伊勢谷氏は「23%の効率化で何ができるのか、考えるきっかけになれば」と中小企業のチャレンジを後押しした。
Amazon Adsが提供する先進的なAIソリューション
中小企業がAI活用に踏み出すために、Amazon Adsは先進の広告テクノロジーを「わかりやすく」「使いやすく」「効果的に」提供することを掲げている。伊勢谷氏は最後のトピック「Amazon Adsの具体的なソリューション」として、3つの取り組みを紹介した。
1つ目の取り組みは「AIを活用した広告運用の効率化」。「すぐに始められる」「効果が実感できる」をコンセプトに、生成AIを活用して画像や動画の広告クリエイティブを作成するソリューションや、オーディエンス分析の精度を高める機械学習モデルを展開している。
一例として紹介されたのが「AI動画ジェネレーター」だ。米国では2025年6月より展開され、日本でも今後提供される予定の同ソリューションは、シンプルな操作で6分以内に6種類の動画を自動生成することができる。

「Amazon Adsのソリューションを活用すれば商品画像の静止画を使って簡単に出稿することが可能です。ただ、動画広告の有用性が年々高まっている中、中小企業のみなさまからも『広告で動画を使ってみたい』というお声をいただいています。AIを活用することで、専門知識を持たない事業者様でも簡単に動画を制作できるようになることは明らかなメリット。中小企業におけるマーケティングの選択肢を大きく広げるでしょう」(伊勢谷氏)
さらにAmazon Adsは2025年9月 、Amazon DSPにおけるNetflixとのパートナーシップを発表したばかり。広告主はAmazon DSPを通じてNetflixのプレミアム広告の在庫へのアクセス、広告配信が可能となる。Amazon Adsにおける動画広告の動向は今後も注目だ。
2つ目の取り組みは「分析基盤の革新」。これまでは一部の広告主のみが使えた「Amazon Marketing Cloud(通称:AMC)」という分析ツールが、スポンサー広告を利用している全ての広告主に解放された。もちろん、AMCの中にはAIが基盤として組み込まれており、広告主は特別な知識がなくても、AIのメリットを享受することができる。

AMCでは数クリックの操作で簡単に、コンバージョンまでの経路分析や時間分析など、精密なインサイトを得ることが可能。たとえば、「どの順番でどの広告に触れてコンバージョンしたのか」「コンバージョンまでに何日かかったのか」というカスタマージャーニーを明らかにすることができる。
「Amazonならではの『商品への興味関心』や『購買』 にフォーカスした分析結果を参考に、広告の組み合わせやタイミングなどのプランニングで有効活用してもらえたら」と伊勢谷氏は促した。

