分断された分析環境をつなぐ「SynWA project」とは?
MZ:課題に対し、具体的にどのような取り組みをしたのでしょうか。
森(電通デジタル):今回の取り組みでは、商品を5つの戦略的カテゴリー「ガム」「チョコ情緒系」「子供と一緒に」「アイス機能系」「アイス情緒系」に分類し、それぞれのコンテンツへの顧客の反応や購買傾向を詳細に分析。各カテゴリー内の商品についても同様の基準で評価を行いました。
また、開封率やクリック率といったエンゲージメント指標に加え、実際の購買への影響やテレビCMとの連動性をKPIとして設定・検証しました。
こうしたアプローチにより、「どのような属性のユーザーが、どの商品カテゴリーを購入しているのか」という購買行動の全体像を可視化できました。従来見えていなかったユーザーセグメントと商品カテゴリーの関係性が明確になり、より精緻なマーケティング戦略の立案が可能となったのです。
小林(電通デジタル):分析・検証においては、LINEヤフーと国内電通グループの共同分析プロジェクト「SynWA(しんわ) project」を活用しました。
これまで推進してきた旧LINEのデータソリューション群「LINE DATA SOLUTION(LDH)」と旧ヤフーの分析プロジェクト「HAKONIWA」に次いで、LINE、ヤフー、国内電通グループのデータを活用した分析により、クライアント様が求める深い顧客理解と幅広い打ち手を実現するため「SynWA project」はスタートしました。
主な特徴として、各プラットフォームの強みと、広告主様やパートナー企業様、国内電通グループの保有データを組み合わせることが可能です。必要に応じて企業が保有する1st Party データや電通グループの多様なデータを掛け合わせることで、より解像度の高い分析を実現します。分析で得られた顧客像を基に、マーケティング施策の立案から広告配信に向けた設計まで実行できます。分断されていた分析環境をつなぎ、潜在層アプローチからLTV向上までフルファネルでのコミットが可能です。
ロッテ様とのお取り組みは「SynWA project」の先進的な事例という意味でも、大きな意義がありました。
プラットフォーマーとの連携を主務とするプラットフォーマー部門でLINEヤフーを担当する。2024年から「HAKONIWA」をメインで担当した後、「SynWA project」の立ち上げメンバーとして参画。
ロッテ×国内電通グループが取り組んだ3つの分析。何が明らかになったのか
MZ:「SynWA project」は2025年6月に正式提供がスタートされたということで、以前MarkeZineでプロジェクトの全体像を取材しました。今回はその実践事例ということですね。
赤澤(電通):そうですね。ここからは「SynWA project」を活用した、具体的な分析内容について説明します。今回は3種類の分析を実施しました。
(1)STADIA(※)データと購買データを活用した分析
※STADIA:テレビの実視聴データを用いたオンライン・オフラインの統合マーケティング基盤
赤澤(電通):ロッテ様の分析を実施するにあたり、「SynWA project」と非常に相性の良い案件だと感じました。ロッテ様はフルファネルでLTV向上を目指すコミュニケーションを展開されており、テレビCMという上流のコミュニケーションとLINE公式アカウントという顧客に寄り添ったコミュニケーションを一貫して実施されています。「SynWA project」は、お客様との同意が取得できている範囲で、これらのデータを連携・分析できることが大きな強みです。
さらに、購買データを活用し、ロッテ様がコミュニケーションを取られている顧客の購買行動を把握しLTV向上に寄与しているかを検証できます。
今回は「クーリッシュ」のテレビCMデータを分析し、テレビCMに接触した方とLINE公式アカウントでメッセージを開封・クリックした方を掛け合わせて分析しました。その結果、テレビCMも視聴し、かつLINE公式アカウントのメッセージ開封者である方の購買率が最も高いことが判明しました。単発の施策だけでなく、両方の施策のシナジー効果を可視化することができたのです。
電通のデータ・テクノロジーセンターでアナリストとしてプラットフォーマーデータを活用した分析に従事し、「SynWA project」の立ち上げメンバーとして参画。LINE公式アカウントの友だちデータや、広告の分析などを手掛けている。
(2)メッセージ配信と購買データを活用した分析
赤澤(電通):また、LINE公式アカウントのメッセージ開封回数とクリック回数を分析した結果、開封回数やクリック回数が多い方ほど購買率が高いことが明らかになりました。
「メッセージ配信をどう捉えるべきか」「どのような成果につながっているのか」と悩まれる企業も少なくないと思います。今回、購買データを組み合わせることで、実際に開封・クリックした方がその後購買行動に移っていることが証明されました。さらに、何度も開封やクリックを行う、つまりロッテブランドの深いファンである方々ほど購買率が高いことも判明しました。

