動的に変化するユーザーデータをとらえ、より深いつながりの実現へ
MZ:本取り組みについて、データ活用設計の面も教えてください。
田中:「多くの人にクーポンを使ってもらい、前向きな気持ちになってもらいたい」という共通目標のもと、電通、電通デジタル、電通プロモーションプラスの各チームで複合的にデータ分析を進めました。
流入経路や「いつメッセージを開封したのか」「コンテンツをどこまで体験したのか」といったLINE内の行動など、顧客理解のためのデータは豊富にあります。また、購買時間・場所や、併売商品など、プロモーション活動による購買データも得られます。複数のチームで動くと、これらの多様なデータを各自で収集・分析する形になり、チーム間で分断されてしまいがちです。そのため「データをどう見るか」の目線を合わせ連携することを意識しました。
土屋:データは、収集・分析して結果が出たらそこで終わりではなく、その後どのような手を打つかが重要です。そして、忘れがちなのが、ユーザーは「動的」であること、つまり状態が変化していく点です。ですから、キャンペーンの実施前後で行動データは変わる可能性があります。パーソナライズドコミュニケーションを実現するためには、その時々でユーザーの状況を理解して、適切なコミュニケーションを都度考え実行していくことが必要です。
そのために、細かい周期でユーザーの状態を把握するシートを作成し、運用しました。シートを確認しながら、各チームでどのような打ち手が必要なのか判断し、具体的な施策につなげています。
藤田:たとえば、デモグラの観点だけでなくユーザーがどの程度習慣的に購買しているかを把握することで、強化したいターゲットを都度明確化しています。そのユーザーに向けてパーソナルなメッセージを配信することで、ジョージアを楽しんでいただく機会をより増やすことを目指しました。
ユーザーに合わせたコンテンツを効果的な形で届ける体験設計を
MZ:ブランド体験を設計する上で、意識したことはありますか。
田中:誰から、どんな内容でメッセージを送るのか。この2つを意識して設計しましたね。例として、AdoさんのLINEスタンプ取得をきっかけに流入したユーザーに対しては、Adoさん自身によるメッセージコンテンツの配信を増やしました。この層にとっては「Adoさんからメッセージが来ること」を最も重要な体験と捉えて、共感価値を高めることを重視しました。
土屋:150万人超のデータをIDで識別し、それぞれに最適なメッセージとクーポンを配信する作業は非常にハードでしたが、パーソナライズドコミュニケーションを実現するために欠かせませんでした。
さらにクリエイティブも、「どのようなユーザーに何を発信するか」によって変わります。Adoさんのファンであれば、Adoさんのイラストをあしらった方が喜ばれますよね。一方、お得な情報に反応するユーザーに対しては、クーポンのメリットがより伝わりやすい表現を心掛けました。このように毎週クリエイティブを出し分けつつ、A/Bテストでさらに効果的なものを検証し続けています。

