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注目マーケティングトピックス2025

いま「オーディオ広告」がアツい!radiko、ポッドキャスト、Spotifyが押し上げる広告価値とは

AIで進化するオーディオ広告、今後のキーワードは「DCO」

MarkeZine:テレビCMやデジタル広告と横並びで効果を検証できる環境が整うと、オーディオ広告を活用したメディアプランニングの選択肢も増えそうです。オーディオ広告の「配信」は、どこまで最適化されていますか?

千代反田:地上波ラジオは「枠」単位の出稿ですが、radikoやポッドキャスト、Spotifyなどでは性年代、位置情報、サードパーティデータなどを活用した配信が可能です。マーケターがイメージするデジタル広告とほぼ同じレベルで、ターゲットに合わせた広告を届けることが可能になっています。

 実際、面白いプランニングの事例も色々出てきています。たとえば、テレビCMを活用した大規模キャンペーンの“合間の期間”にオーディオ広告を挟みブランドの想起率やマインドシェアの低下を防ぐといった使い方もありましたね。

 また、最近、オーディオ広告の領域で注目されているのが「DCO(Dynamic Creative Optimization)」というキーワード。DCOとは、聴取者の状況に合わせてクリエイティブ×配信を最適化する手法です。時間帯にあわせて「おはようございます」「こんにちは」といった挨拶言葉を変えたり、現在地や居住地にあわせてエリア名を変えたりと、状況別にオーディオ広告のクリエイティブを最適化できるようになっています。DCOを活用した施策では、広告接触者の来店が過去施策の2.5倍に増加した事例もあります。

DCOのイメージ
DCOのイメージ

MarkeZine:そうなると大量の音声クリエイティブが必要になりますが、どう対応しているのでしょうか?

千代反田:AIを活用したクリエイティブの最適化を推進しています。音声広告領域の専門人材を集め、属人的だった制作ノウハウを「虎の巻」として体系化し、そこにAIを掛け合わせることで、音声クリエイティブの制作やディレクションの向上を図っているところです。音声の領域でもAI技術はかなり進化しているんですよ。メディアプランニングとクリエイティブの両面から最適化を図れる素地も整いつつある状況です。

MarkeZine:なるほど。クリエイティブ×配信の最適化まで進むと、さらにオーディオ広告の可能性が広がりそうですね。

千代反田:既に米国では、コンテンツのトピック、雰囲気、ブランド安全性などを分析し、文脈関連性の高いオーディオ広告を自動配信する仕組みが実装されています。

 パーソナリティがビール好きであればビールの広告が、美容に詳しければコスメブランドの広告が出稿されるように、元々ラジオはコンテキストの価値が高いメディアです。今後はテックベンダーなどとも連携し、コンテキストを可視化していくことが重要になっていくでしょう。

MarkeZine:ちなみに、「ラジオ」「ストリーミング音楽」「ポッドキャスト」で、聴取者の文脈や動機に違いはあるのでしょうか?

千代反田:ええ、それぞれに特有の傾向が見られます。アメリカで圧倒的なシェアを誇る音声プラットフォーム「iHeart」が5万人を対象に実施した大規模調査で、非常に興味深い結果が出ていました。

 簡潔にまとめると「ラジオは感情的な支えとなる力」「ストリーミング音楽(Spotifyなど)は気分を上げる、集中力ややる気を高める力」「ポッドキャストは興味関心や学びの意欲を満たす力」が強く、それぞれに聴取の動機が存在しています。

テクノロジー進化の中でも変わらない「音声」の本質的価値

MarkeZine:テクノロジーで進化する部分もありながら、昔から愛されてきたラジオならではの良さをオーディオ広告でどう残していくべきだと思われますか?

千代反田:どんなにテクノロジーが進化しても、オーディオコンテンツの「聴く」というアクションは変わりません。また、ラジオであれ、ポッドキャストであれ、音楽であれ、リスナーがそこに求めるのは、「繋がり」を感じさせてくれる声、物語、音、そして会話です。その上で重要となるのは、昔からラジオにある「双方向性(インタラクティブ性)」ではないかと考えています。

 2025年9月にインドネシアで開催された「Radio Days Asia/Podcast Day」で話題になったトピックスがあります。アメリカの大人気ポッドキャスターのアレクサンドラ・クーパーさんが「音声メディアで次に重要となるのは、古典的なトークショーやライブコンテンツにあるような、パーソナリティとリスナーの双方向性だ」とコメントされていました。私はこれを聞いて嬉しくなりました。というのも、インタラクティブ性や「人との繋がり」はラジオが長年大事にしてきた根源的な価値ですよね。デジタル化やAI化が進んでも、この本質は変わらないのだと思います。

 オーディオ広告のフォーマットもこれから増えていくと思いますが、テクノロジーを活用して相乗効果を出しながら、生活者の広告体験をより良いほうに変えていきたいですね。

安部:そうですね、僕もラジオが好きでいまのチームに入りました。いちリスナーとしても、ラジオ広告はネガティブ感が低いというのはとても実感するところです。だからこそ、オーディオ広告がブランドと生活者の関係性の醸成にいかに貢献できるのか、テクノロジーの力で可視化していきたいと思っています。

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2025/12/25 08:00 https://markezine.jp/article/detail/50149

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