【事例:食品メーカーA】インサイト発掘で新規顧客層を獲得
セッションでは、Meltwaterが支援した事例として、健康飲料Aを展開する大手総合食品メーカーAがSNSデータを活用してインサイトを発掘し、新たな顧客層を獲得した取り組みが紹介された。
【課題】ブランド認知は非常に高いものの、購買層の固定化により売上が伸び悩んでいた。特に若年層へのリーチができていないことが主要な課題であった。社内では、健康志向の消費者以外に訴求すべきターゲット層について議論されていた。
Meltwaterの協力のもと、SNSデータの分析から「健康飲料A × 美容」「美白効果」といった投稿が増加している傾向が明らかになった。美容系インフルエンサーによるハッシュタグ付き投稿など、健康飲料の枠を超えて"美容目的での摂取"という新たな文脈で語られ始めている兆しをつかんだのだ。

食品メーカーAは発見したインサイトを、広告運用へ適用。従来の健康関心層から美容関心層を中心とした配信セグメントを新たに設定し、美容関連のメッセージを押し出した広告クリエイティブを展開した。また、UGCの創出においてインフルエンサーを起用したキャンペーンを実施し、20代から30代の若年層へのリーチを拡大に成功した。
顧客ニーズの変化を捉える“SNS分析フレームワーク”の構築
Meltwaterが支援に入る以前、先ほどの事例の食品メーカーAのSNS担当者は、日々SNSで自社商品がどのように語られているかをチェックしているものの、膨大なデータの中から傾向の変化やニーズを掴みきれないという課題を抱えていた。「分析環境が未整備で、参照データも一部のSNSに限られており、他チャネルの重要なインサイトを見逃していた。またインプレッションやリーチといった数値の意味の良し悪しが判断できず、情報に溺れてしまっている状況だった」と髙橋氏は当時を振り返る。
このような状況を解決する肝になったのが、「“顧客起点でのマーケティング”の実践」と髙橋氏は示す。Meltwaterが構築した「SNS分析フレームワーク」に沿って進めることで、顧客ニーズの変化を捉え、そこで見つけたインサイトを具体的な施策に展開することができるようになった。
SNS分析フレームワーク
第1段階:集める(データ基盤整備)
従来はXのみ・サンプルデータで分析を行っていたが、Instagram、YouTubeなど他チャネルの貴重なインサイトを見逃す恐れがあった。そこで、SNSチャネルを横断し、対象ブランドを全ブランドに拡大することで、情報収集の網羅性を向上させた。
第2段階:揃える(共通言語の構築)
データの意味付けが不明確であったため、指標の統一化を実施(例:いいね=共感、QP=意見付き拡散)。各指標の定義を明確化することで、ブランド担当者やマーケティング担当者が共通言語として活用できるように。
第3段階:解く(データの読み解き)
データの読み解きにはスキルや時間が必要であるという課題に対し、統一フォーマットで分析精度を向上させるようにしたほか、AI分析で即座にインサイトやトレンドを抽出できるようにした。
第4段階:繋げる
分析結果を具体的なアクションに繋げられるようにするべく、各ブランド担当者へのインサイトレポートのリアルタイム共有や、施策への反映と改善サイクルの高速化を可能にした。

