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MarkeZine Day 2026 Spring

イベントレポート(AD)

三井住友カード、ポーラ、オルビスらが語る。AI時代にLTVを高める「感情的価値」と体験設計

 2025年11月20日、チーターデジタルは「Loyalty Day Tokyo 2025」を開催した。テーマは、競争激化の時代に企業の持続的成長を支える「顧客ロイヤルティ」。冒頭では米国本社であるMarigoldのエンタープライズ部門とZeta Globalの統合が発表され、AIを活用した次世代マーケティングの展望が語られた。本レポートでは、三井住友カードやポーラによる経営視点の戦略論、プーマやラコステの独自のブランド体験設計、そしてオンワード、オルビスによるLTV向上の具体的施策まで、熱気に包まれたイベントの全容をお届けする。

「選ばれ続ける」ためのAI×ロイヤルティ──MarigoldとZeta Globalの統合が描く未来

 イベント冒頭、チーターデジタル代表取締役社長の浅坂絵美氏が登壇し、開会の挨拶を行った。浅坂氏は、競争が激化し情報が溢れる現代において、消費者がブランドを選ぶ基準が変化していることに言及。「一度選ばれることよりも『選ばれ続けること』こそが、今後の企業の強みになると確信しています」と述べ、企業と顧客の長期的な関係構築の重要性を強調した。

チーターデジタル株式会社 代表取締役社長 浅坂 絵美氏
チーターデジタル株式会社 代表取締役社長 浅坂 絵美氏

 続いて、チーターデジタルの米国本社であるMarigold(マリーゴールド) のChief Revenue Officer(当時)、Micki Howl氏が登壇し、同社のエンタープライズ部門が米国のZeta Global(NYSE: ZETA)と統合することを発表した。Zeta GlobalはAI主導のマーケティングプラットフォームとして急成長し、世界最大級の消費者IDデータベースを保有する企業だ。Howl氏は、「Zetaのミッションは、自動化を活用してすべての消費者が適切なタイミングで適切なメッセージを目にするようにし、体験をより適切で楽しいものにすることです」と述べ、この統合によりチーターデジタル(Marigold)のサービス群の機能がZetaのAI技術基盤によって強化されると強調した。

Marigold Chief Revenue Officer(CRO) Micki Howl 氏
Marigold Chief Revenue Officer(当時) Micki Howl 氏

 最後にHowl氏は、今後の展望として「AI-Powered Loyalty(AIを活用したロイヤルティ)」というビジョンを提示。「Zeta Globalのテクノロジーが、私たちがこれまで構築してきた技術と知見のすべての加速装置となります」と語り、AIとデータを活用することで、個々の顧客を深く理解し、よりパーソナルな体験を提供する方針を明らかにした。

三井住友カード×ポーラが語る、LTV最大化と「感情的価値」の正体

 続くKeynote1では、「業界の異なる2社が考える、顧客ロイヤルティ戦略とは」をテーマに、三井住友カード 代表取締役 副社長執行役員 COOの佐々木丈也氏と、ポーラ 代表取締役社長の小林琢磨氏が対談。モデレーターはフリーアナウンサーの藤井貴彦氏が務め、経営視点から見たロイヤルティの本質に迫った。

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(写真左から)三井住友カード株式会社 代表取締役 副社長執行役員 COO 佐々木 丈也氏
株式会社ポーラ 代表取締役社長 小林 琢磨氏
フリーアナウンサー 藤井 貴彦氏

 ポーラの小林氏は、「売上・利益=LTV(顧客生涯価値)」という大前提を掲げた。「コロナ禍でリアル店舗の売上が落ち込んだ際、安易にECでの新規獲得に走るのではなく、顧客構造を見直しました。既存のお客様のLTVは新規の数倍〜数十倍にもなります。チャネルの論理ではなく、顧客構造全体を見て、既存顧客のLTVを高めることに予算とリソースを集中させました」(小林氏)と語り、「短期的な数字を作るための新規獲得偏重から脱却し、既存顧客との関係深化こそが経営の安定に繋がる」と力強く述べた。

 これに対し、三井住友カードの佐々木氏も深く頷く。同社にとっても顧客ロイヤルティは「一丁目一番地」の最重要課題であり、顧客との関係を数値化し経営層も理解することを重視しているという。佐々木氏はロイヤルティを構成する要素として、ポイント還元や利便性といった「実質的価値」に加え、「感情的価値」の重要性を強調した。

 ポイントの有効期限のお知らせや手続きの簡潔な案内など、「我々が提供する価値そのものに対して『嬉しい』とか『教えてくれてありがとう』といったエモーショナルな反応を、どれだけ生み出していけるかが重要」(佐々木氏)と、顧客ロイヤルティ醸成における感情的価値の重要性が語られた。

「ポイント」から「感情的なつながり」へ──ロイヤルティの真価とテクノロジーの進化

 続いて、MarigoldのLoyalty Center of Excellence(当時)であるRoger Williams氏と、Chief Product Officer(当時)のIain Short氏が登壇。ロイヤルティプログラムの世界的潮流と、それを支えるプラットフォームの進化について語られた。

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(写真左から)Marigold Loyalty CoE(当時) Roger Williams氏
同社 CPO(当時) Iain Short氏

 Williams氏は、世界的なトレンドとして「即時割引」が拡大している現状に触れつつ、その持続可能性に疑問を呈した。「顧客の68%が、自分に合った価値や利便性のためならプレミアム価格を支払う意思を持っています。安易な値引きではなく、ブランドとの関係性を深める設計が必要です」(Williams氏)

 そこで提示されたのが、「ロイヤルティの方程式」だ。Williams氏は、ポイントを貯めて特典と交換する瞬間を「ゴールデン・モーメント」と呼ぶ。

 「顧客がポイントを使って何かを得た時、彼らにはプログラムへの満足と『もっとポイントが欲しい』という欲求が生まれます。この『交換』という体験こそが、収益を牽引する『増分』を生み出すのです」(Williams氏)(参考:ゴールデン・モーメントとロイヤルティプログラムのROIについての解説

ロイヤルティの方程式(Loyalty Equation)
ロイヤルティの方程式(Loyalty Equation)

 続いてShort氏が、この戦略を具現化するテクノロジーについて解説した。Marigoldのプラットフォームは、クロスチャネルメッセージング機能「Engage+(現Cheetah Digital)」とロイヤルティプログラム管理機能「Loyalty」が連携し、あらゆるチャネルでパーソナライズされた体験を提供する。特に注目を集めたのが、新機能「AI主導のオファー(AI Offers)」だ。

 「買う準備ができている人と、あと少しの後押しが必要な人をAIが見極めます。これにより、不必要なバラマキによる値引きを防ぎ、利益率を確保しながらコンバージョンを最大化できるのです」(Short氏)

 さらに、投資対効果を可視化する分析機能「Marketer Insights」の強化も発表された。データとAIを駆使して顧客との「感情的なつながり」を築くための、同社のビジョンとプロダクトの進化が示された。

プーマ×ラコステに学ぶ、ファンを熱狂させる「独自のブランド体験」

 Keynote2では「ブランドらしい顧客体験を、どのように設計するか」をテーマに、プーマ ジャパン社長の井上緑斎氏と、ラコステ ジャパン Sr. Director of Omni Channelの相城浩志氏が登壇。モデレーターはチーターデジタル 副社長 COOの齋藤修氏が務めた。

プーマ ジャパン株式会社 代表取締役社長 井上 緑斎氏 / 株式会社ラコステ ジャパン Sr. Director of Omni Channel / 店舗・Digital事業統括 相城 浩志氏 / チーターデジタル株式会社 副社長 COO 齋藤 修氏
(写真左から)プーマ ジャパン株式会社 代表取締役社長 井上 緑斎氏
株式会社ラコステ ジャパン Sr. Director of Omni Channel/店舗・Digital事業統括 相城 浩志氏
チーターデジタル株式会社 副社長 COO 齋藤 修氏

 プーマの井上氏は、ブランドの核となるのは「アスリート」であると断言。世界陸上に合わせて開催されたイベントでは、ウサイン・ボルト選手らを招き、ファンと交流する場を設けた。「『商品を買ってください』というメッセージは一切出さず、選手への憧れやスポーツをする喜びといった『感情』の共有を目指しました」と語る。ランニングイベントの応募フォームには、参加者から熱いコメントが殺到。購買を直接の目的とせず、顧客の人生に寄り添う姿勢が深いエンゲージメントを生んでいる。

 一方、ラコステの相城氏は、創業者のルネ・ラコステが生んだ伝統を守りつつ、「遊び心」を取り入れたローカライズ戦略を展開。また、店舗を「体験の場」と定義し、ポロシャツのカスタマイズサービス「MY LACOSTE」や、VIP顧客向けのアップサイクルワークショップなど、リアルな場での特別な体験価値を提供している。

 デジタル領域においても、ラコステはスクラッチ付きのバースデーメールや、オンラインミニゲーム、診断コンテンツなどのエンターテインメントを提供。齋藤氏の「日本はポイントプログラムが割引に偏りがちだが、両社は『体験』を通じて愛着を育てている」という総括の通り、機能的価値を超えた「楽しさ」や「熱量」の共有こそが、ファンを熱狂させる鍵であることが示された。

創業100年企業の挑戦──リアル×デジタルで築く「オンワード経済圏」

 続いて登壇したのは、オンワードデジタルラボ 社長の山下哲氏と、デジタルマーケティングDiv.の芦田敏輝氏。「創業100年!進化をつづける老舗アパレル オンワードの顧客ロイヤルティ設計」と題し、同社のOMO戦略が語られた。

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(写真左から)株式会社オンワードデジタルラボ 代表取締役社長 山下 哲氏
同社 イノベーショングループ デジタルマーケティングDiv. リレーションSec.リーダー 芦田 敏輝氏

 間もなく創業100周年を迎えるオンワードグループ。山下氏はまず、同社のビジネス構造における「既存顧客」の重要性を示した。「当社の売上の約8割は既存のお客様によって支えられています。特に、店舗とECの両方を利用する『クロスユース』顧客のARPU(年間平均購入金額)は、単一チャネル利用顧客の約2.6倍にも跳ね上がります」(山下氏)。このデータは、リアルとデジタルの垣根を超えた体験提供こそが、ロイヤルティ向上の最短ルートであることを如実に物語っている。

 そのための具体的な施策として芦田氏が紹介したのが、徹底したシナリオ設計だ。初回購入後のフォローメールでは、店舗購入客にはECクーポンを、EC購入客には2回目購入用のクーポンをと、入り口のチャネルに応じて内容を出し分けている。また、サステナブルな衣料品引取サービス「オンワード・グリーン・キャンペーン」をCRMに組み込み、購入から一定期間経過した顧客に案内を送ることで、店舗への再来店と新たな購買サイクルを生み出すことに成功している。「単なる値引きではなく、お客様が『またお店に行きたい』と思うきっかけを作ることで、結果としてクロスユースが拡大しています」(芦田氏)

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F2・F3転換を促す施策の一例(クリックすると拡大します)

 オンワードでは、チーターデジタルのMAツール「Engage+(現Cheetah Digital)」を10年にわたり利用しており、現在運用している施策数は約800本にものぼる。山下氏は今後の展望として、マルチブランド展開という強みを活かした「オンワード経済圏」の確立を掲げた。

 「アパレルだけでなく、ライフスタイル全般に関わるグループ各社との接点を作り、チャネルを広げていく。そうして『オンワード経済圏』を形成し、グループ全体でのLTV最大化を目指します」(山下氏)

オルビスが「顧客解像度」を高め、インセンティブに頼らずLTV115%成長を実現

 最後に登壇したのは、オルビス CRM統括部 部長の大村亮平氏と、CRM推進担当 担当部長の藤田剛氏。「ロイヤルティ醸成をどう施策へ落とし込むか」をテーマに、同社のCRM戦略が語られた。

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(写真左から)オルビス株式会社 CRM統括部 部長 大村 亮平氏
同社 CRM統括部 CRM推進担当 担当部長 藤田 剛氏

 2018年のリブランディング以降、変革を続けるオルビス。アプリ会員数600万人を超える顧客基盤を活かし、ブランドとの繋がりを強化することでLTV最大化を目指している。その鍵は、顧客構成比の約8割を占める「スタンダード顧客」を「VIP顧客」へ引き上げることだ。藤田氏は、徹底して「顧客解像度」を高めることの重要性を強調した。

 「ロイヤルティの向上とは、顧客のペイン(悩み)の解消やニーズを満たした経験の積み重ねです。定量データだけでなく、アンケートやインタビューを通じて『いつ、誰に、何を』伝えるべきかの解像度を上げることが、施策の成功に直結します」(藤田氏)

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顧客のペインとニーズを特定し顧客解像度を高める(クリックすると拡大します)

 その成功事例として紹介されたのが、F2(2回目購入)転換施策だ。データ分析により、トライアルセット購入後の転換ピークは「14日目」にあることが判明。しかし藤田氏は「お客様の手元にはまだ前のスキンケアが残っている可能性がある」という心理的障壁に着目した。そこで、「届いた瞬間から使いたくなる高揚感」を醸成するために配送箱のデザインを刷新。さらに、手持ちの化粧品がなくなるのを待たずに使い始めてもらうため、あえてキャンペーン期間を短縮し、使い終わるタイミングでオファー期限が来るよう再設計を行った。また、ヒートマップ分析に基づき、商品説明よりもベネフィットや悩みの解決イメージを重視したクリエイティブを採用。これらの緻密な改善により、割引などのインセンティブ強度は変えずに、顧客LTV115%成長という成果を叩き出したのだ。

 セッションの締めくくりに大村氏は、これからのマーケティングのあり方について提言した。「これまでの購買履歴に基づく『相関関係マーケティング』から、顧客の悩みやデモグラフィック情報からニーズを先回りして提案する『因果関係マーケティング』への進化が必要です」(大村氏)

 こうしてすべてのセッションが終了。セッション終了後には、ネットワーキング懇親会が行われ、登壇者・参加者の枠を超えた交流が盛んに行われた。

53社の国内事例からトレンドを学ぶ!ロイヤルティプログラム完全ガイド

 昨今、多くのブランドが刷新する会員プログラム。購買金額に応じたポイント付与以外にも、マイページログインやお気に入り登録、アンケート回答など、様々な顧客行動へ特典付与する“アクションベース”のプログラムも増えています。7つに分類された53事例を、最新トレンド理解へご活用ください。

 ダウンロードはこちらから:ロイヤルティプログラム完全ガイド2025

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この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

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【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/02/09 10:00 https://markezine.jp/article/detail/50196