Prime Dayと文化文脈が示す“ROASでは見えない効果”
「Day 1 Partner Keynote(Liquid I.V./Estée Lauderのフルファネル成功事例)——上流と下流をつなげて初めて見える、真の広告効果」では、Amazon Adsと複数の代理店・ツールが協働した事例として、Estée Lauder と Liquid I.V.の取り組みが紹介された。両ブランドに共通していたのは、単発ROASでは測れない“積み上げ効果”をAMCが可視化し、フルファネル全体で成果を捉え直している点である。
Estée Lauderは、女性スポーツファンへのアプローチとして「Game Day Your Way」キャンペーンを展開した。Prime VideoのThursday Night Football(TNF)における大型露出が象徴的で、この取り組みを通じて女性視聴者への到達が大きく広がった。AMCによる分析では、ブランド指名検索や購買行動の上昇が確認され、最終的にキャンペーン売上の73%がTNF接触者に由来することが判明したという。上流の投資が具体的な購買につながる“経路”が可視化されたことは、ROASでは決して掴めない成果である。
Liquid I.V.の事例も示唆に富む。同ブランドはPrime Dayを“一発勝負の販促”として捉えるのではなく、数週間前からのプレイベント期間に上流投資を行い、興味・検討の蓄積をつくった。AMCで購買経路を分析したところ、Prime Day当日の購買の約半数が、事前の広告接触者だったことがわかったという。さらに翌月のDeals Dayやホリデー期にもその効果が波及し、フルファネルでの一貫した成長が実現した。
どちらの事例でも鍵となったのは、上流での接触と下流での購買が“別々の活動”ではなく、“一つの連続体”として捉えられていた点だ。読者の皆様の現場でも、ROASだけではなく、この「連続する効果」を見る姿勢がますます不可欠になっていくことだろう。
