コミュニティは“情緒”に振り切る
──BtoB企業が運営するコミュニティならではの特徴はありますか? BtoC企業のコミュニティとの違いを踏まえて、意識すべき運営上のポイントがあれば教えてください。
黒田:ビジネスの性質の違いがコミュニティにも反映されます。たとえば、ステークホルダーの多さ。現場の担当者だけでなく、マネージャーや経営層が意思決定に関わるからこそ、それぞれに応じたコンテンツの企画や体験設計が重要となります。

黒田:加えて、参加者のモチベーションも異なります。BtoCの場合は「共感」や「愛着」などの情緒的なモチベーションが働きやすい一方、BtoBの場合は「機能を使いこなして成果を上げたい」などの実利的なモチベーションにもフォーカスしなければなりません。Sansan User Forumは情緒と実利を高度に両立させている点が特徴的ですね。
一方井:BtoBビジネスでは、ほとんどの方が所属企業や肩書の下でお仕事をされています。ただ、コミュニティだけは個人が集い交わる場だと私は考えていて。実利的なモチベーションは、営業がお見せするマテリアルや会社が主催するイベントなどでも満たすことができるからこそ、コミュニティは情緒に振り切っているかもしれません。
──ユーザー主体の場を作る鍵となる「Sansan Navigator」について教えてください。
岡田:Sansan Navigatorは、コミュニティとユーザーさんをつなぐ架け橋のような存在です。リニューアル直後は5名でしたが、現在は20名を超えました。Sansan User Forumの世界観を非常に深く理解・共感していただいている方々で、積極的な投稿で場を盛り上げてくださったり、企画を一緒に考えてくださったり、新たなユーザーさんを呼び込んでくださることもあります。

一方井:中には、当社のプロダクトの機能を他のユーザーさんに紹介してくださる方もいて。コミュニティに貢献してくださっているSansan Navigatorの皆さんには、恩返しの機会を設けるようにしています。クローズドのグループを作成して当社主催のカンファレンスにVIPとしてご招待したり、オリジナルのTシャツや名刺などを贈ったり。少しでも「一緒に盛り上げていこう」と思ってもらえるような場にしたいんです。
宮川:コホート分析をすると、Sansan Navigatorの方々が非常に高い頻度でログインされていることが見て取れます。BtoBの場合は稼働が落ち着くはずの土日でも、ログイン率が少し上がるんですよね。それくらい居心地の良い場所になっているのだと思います。

コミュニティで差別化する時代へ
──今後、Sansan User Forumをどのような場所にしていきたいですか?
岡田:コミュニティから生まれるイノベーションの輪を、さらに広げていきます。Sansan User Forumの良さがまだ十分に伝わっていない方もいらっしゃるため、そういう方々がもっと気軽に発信できるようなコミュニケーションを意識したいです。企画を考えてくださるのはユーザーさんですが、皆さんがワクワクできる場づくりや、ユーザーさん同士をつなぐことでコミュニティを盛り上げられると思っています。
矢野:私は、ツールありきの支援ではなく「どうあるべきか」という体験設計を第一に引き続きサポートしていきたいと考えています。現状に満足されていないところがSansanさんの素敵なところです。今後も提案内容やプロダクトのアップデートを重ねて、コミュニティの可能性を広げるお手伝いができればと思います。

一方井:コミュニティが持つ正しい価値を、社内だけでなく世の中に広めていきたいです。コミュニティに対して「どうせ飲み会なんでしょ」「サークル活動でしょ」というネガティブなイメージを持つ方は未だにいらっしゃいます。これほど学び深い交流が生まれる場所なのに、ただの飲み会やサークルだと捉えられてしまうのは非常にもったいないと感じていて。古いイメージを変えていきたいと本気で考えています。

宮川:一方井さんがおっしゃった展望を実現するためには、我々がマーケットを広げていかなければなりません。「コミュニティをやっていないほうが少数派」くらいのムードになるよう、コミューン自体も進化し続けていきたいと思います。
黒田:AI時代において、ことSaaS企業は機能面での差別化が難しくなると目されています。仮にそのような未来が訪れても、顧客との強い信頼関係は模倣不可能な競争優位になるはずです。コミュニティ運営を顧客との信頼関係を築く資産形成のようなものだと捉えて、Sansanさんのように中長期的に取り組む企業が増えると良いなと思っています。
コミュニティ活用についてもっと知りたい方は
書籍では、コミュニティの立ち上げ方が詳しく解説されています。具体的なノウハウを学びたい方は、ぜひお手に取ってご一読ください。

