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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2026 Online

MarkeZine Day 2026 Spring(AD)

戦略と実行の乖離をどう防ぐ? NaaS市場開拓を目指すNTTドコモビジネスに学ぶ、「変革」のプロセス

 新規事業の成功には、スピードと高度な専門性が不可欠だ。新市場開拓に挑むNTTドコモビジネスは、外部の視点を取り入れマーケティング戦略を再構築するとともに、現場の実行力を高めている。「MarkeZine Day 2026 Spring」では、同社の平川亜希子氏、外部プロ人材の武井明氏、アマナの阿部澪氏が登壇。「戦略が現場で機能しない」というジレンマを突破する、リアルな実践知を明かした。

セキュリティ統合型NaaS「docomo business RINK」

 企業のIT部門にとって、様々な機器の導入や事業拠点の増加、AI活用推進、サイバー攻撃対策など、ネットワークとセキュリティに関する管理業務が急速に拡大している。しかし、多岐にわたる業務に対応できる人材は希少で、人材不足に悩む企業は多い。

 こうした課題を解決するために、NTTドコモビジネスが提供しているのが「docomo business RINK」だ。ネットワーク環境の構築・運用を“サービス”として提供するNaaS(Network as a Service)の形態をとっており、従来は機器の購入や個別の専門人材が必要だった作業を、サブスクリプション型のサービスとして一括で利用できる。

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docomo business RINKが解決する課題
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 具体的には、ネットワークとセキュリティの機能を一つのサービスに統合しており、申し込みから運用まですべてWebで完結する。必要な時に必要な分だけ使えるため、機器の過剰調達や導入までの長い待ち時間といった、従来の管理業務特有の非効率を解消できる。

 こうした利便性を備える一方で、同サービスが様々な機能を持つが故に、お客様へ価値をシンプルにわかりやすく伝えることに難しさがあった。

 「プロダクトを提供する立場では、機能訴求が強くなりがちです。お客様にとっての価値を明確に伝えるには、コミュニケーション戦略を再構築する必要がありました」。取り組みの背景をそう振り返るのは、NTTドコモビジネスのプロダクト組織において、プロモーションを担う平川氏だ。

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NTTドコモビジネス株式会社 平川 亜希子氏

頼ったのは、幅広い領域のプロ人材を抱える「GreatRIVER」

 平川氏は、同サービスの営業・プロモーションにおける課題を解決するため、クリエイティブ・マーケティング領域で培ってきた知見と人材ネットワークを有する、アマナが提供する「GreatRIVER」を頼ることにした。

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アマナが提供するサービス

 「GreatRIVER」は、自社だけでは難易度が高いプロジェクトや課題を抱える企業に、創造性のある最適な人材を紹介して伴走するサービスである。「こんな人がいれば、組織がもっと機能するのに」「こんな視点を持って判断できる人に入ってもらいたい」といった悩みに対応する。

 マーケティングやブランディング、新規事業開発、顧客体験設計など、幅広い領域の高度な専門人材が、企業の組織の一員として加わり、戦略設計から企画実装まで一気通貫で支援する。

 今回の事例で、NTTドコモビジネスのプロジェクトにプロ人材として参画したのが、BtoBの無形商材に特化した営業支援会社のLife with Beachの代表を務める武井氏だ。

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Life with Beach株式会社 代表取締役 武井 明氏

“外部の視点”を活用、サービスの魅力を伝えやすく

 NTTドコモビジネスの平川氏は、「お客様の視点でサービスの魅力をわかりやすく伝えるために、外部のプロの目線を取り入れたいと考え、武井さんに入っていただきました」と語る。

 では、武井氏はNTTドコモビジネスでどのような活動を実施したのか。新規事業の立ち上げと成長においては、0から1を生み出す「内省フェーズ」、1から10に広げる「社会化フェーズ」、10から100に拡大する「社会実装フェーズ」がある。

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 新市場創出を目指す今回のプロジェクトは、社会化フェーズにおける取り組みだ。この段階では、社内外のステークホルダーと接触し、そこから得られる意見や要望を踏まえて事業を改善していく。これまで想定していなかった価値や課題も見つかる。

 そのため、武井氏が最初に取り組んだのが、様々な関係者や資料によるインプットだ。具体的には、社内の各営業チームに「どのようなクライアントの、どの部署や役職の人に、どのような話をしているのか」「競合はどのようなサービスか」などを細かくヒアリング。開発チームにも、開発の意図やプロダクトに込めた思いについて聞かせてもらった。

 また、NTTドコモビジネスが蓄積している社内アンケートや社外リサーチの資料も読み込んだ。さらに、外部の人の意見を聞くために、サービスについてメディア関係者らに説明する場に同席し、寄せられた意見や質問に耳を傾けた。

 そういったデータをインプットしていくと、様々な強みや課題が見えてくる。「やるべきことがたくさんある中で、実際に何を優先して取り組むべきか。深掘りして整理していきました」(武井氏)

 その中で改めて感じたのが、NTTドコモビジネスが誇る技術力の高さだ。「日本で唯一」と訴求できる技術を有しており、受賞実績もある。それらを積極的に打ち出していくべきだと考えた。

現場の実行力を劇的に高めた共創プロセス

 一方、サービスに関する営業資料には、大きな課題があると感じた。顧客視点よりも、開発部門や社内経営企画向けの言語・視点でまとめられているものが多く、営業担当者が顧客にそのまま使いにくい内容になっていたのだ。

 「営業現場の視点で見ると、もう少し内容をわかりやすくかみ砕いて表現したほうが、営業先に持って行きやすいのではないかと感じました」(武井氏)

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実際に行ったこと
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 特に、最も重要なポイントである「ネットワークとセキュリティ」に関しては、用語が難解だ。経営・開発視点の社内言語や業界用語を、できるだけわかりやすい言葉に落とし込んでいった。

 同サービスでは、従来は50枚もの分厚い資料を使っていたが、商談用として3~5枚の営業資料にまとめた。また、セキュリティ機能に特化した手引書なども作成した。

 「ITリテラシーが高くない人にも伝わるようにするために、どこまで言葉を平易にするか、意識しました。どのような人にとってもわかりやすい営業資料に仕上がったと思います」(武井氏)

 その過程で欠かせなかったのが、NTTドコモビジネス側のチームとの“壁打ち”だ。

 武井氏は毎週の会議に向けて、「お客様に伝わりやすいメニュー名/見せ方の整理」「プレスリリースに向け、メディアに伝わりやすいシナリオ検討」といった宿題を設定。自身の視点でたたき台を作って会議に参加し、内容についてディスカッションを重ねた。その作業によってプロダクトの強みを理解し、営業資料に落とし込むことができた。

 「会議で出た意見や要望を集約したものを翌週に持って行き、また議論する、という作業を続けていきました。毎週3歩進むけれど、新しい情報が入ることで1歩下がる。それでも着実に2歩ずつ進んでいきました」と武井氏は振り返る。

 NTTドコモビジネスの平川氏も「社内では、様々な部署から情報や要望、指示が飛んできます。それらの情報を武井さんと共有し、日々の相談に乗ってもらいながら、客観的な目線で方向性を見出せたことが良かったと思います」と話す。

 重要なのは、壁打ち相手が「一緒に言語化する人」かどうかだ。コンサルティング会社の分析レポートを社内で読み解く作業は負担になりやすいが、週次で情報を共有しながら言語化を並走する形であれば、アウトプットが社内の言葉として定着しやすくなる

新市場開拓に必要なこととは?

 今回の取り組みを踏まえ、アマナの阿部氏は「新市場の拡大において必要だと思うこと」を2人に質問した。

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株式会社アマナ Sales&Produce ビジネスプロデューサー 阿部 澪氏

 NTTドコモビジネスの平川氏は「お客様への営業はもちろん、メディアやアナリストへの発信、販売パートナーやユーザーへの対応など、一つひとつを丁寧にやっていくことが大事だと思います」と話す。今後も、外部の視点を取り入れながら、より顧客に刺さるポイントを探っていくという。

 武井氏は「まずは論点の整理が大事」と話す。特に目玉となる新規事業では、様々な部署から多くの意見や要望が出てくる。何を優先するか、整理して取り組むことが必要だ。そのために、部署を横断して携わり、各部署の言語を共通言語に“翻訳”するトランスレーターの役割が重要となる。

 加えて、「たくさんの会議に参加する必要のない立場の人に、その役割を担ってもらうといい」とアドバイス。「プロジェクトをけん引する部長や課長といったマネージャーはとにかく会議が多く、緊急度の高いアジェンダや宿題の対応に追われ、重要なアジェンダの深掘りや進行がしづらいから」というのが理由だ。トランスレーターに役割を絞り込んだ人材を配置して取り組んだほうが、改善のスピードは速くなる。

 「議論して終わりになってしまわないように、トランスレーターがプロジェクトを裏側でどんどん進めていくことが大事だと思います」(武井氏)

マーケティング戦略が「絵に描いた餅」で終わるかどうかの分岐点

 今回の事例から見えてくるのは、戦略と実行の乖離を防ぐための、ある種の法則だ。論点を整理し、各部署の言語を共通言語に翻訳し、議論より先にアウトプットを作って前進させる。この役割を担う人材が社内にいるかどうかが、マーケティング戦略が「絵に描いた餅」で終わるかどうかの分岐点になる。

 しかし現実には、マーケティング担当は広い業務範囲・日々の施策運用などに追われることも多く、客観的な視点で戦略から実行を担う専門人材を確保することが難しい企業も多い。

 アマナの阿部氏によると、様々な企業から「戦略を具体的なアクションに落とし込み、実行できる人材の採用や育成が難しい」「大きなプロジェクトの立ち上げから推進までを担う人がいないため、着手できない」「関係者をまとめて、戦略を具体的な実行計画に落とし込む推進力が足りない」といった相談が寄せられているという。

 「GreatRIVER」であれば、今回の武井氏のように組織に伴走しながら戦略と現場をつなぐ外部プロ人材を、柔軟な関与度で活用できる。

 「マーケティングにおいて、明確な正解はありません。だからこそ、外部の目線を取り入れながら、スピーディーに検証と改善を繰り返せる体制が重要です。今回のNTTドコモビジネスさんの事例が、戦略を実行につなげるためのヒントになれば嬉しいです」(阿部氏)

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この記事の著者

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。

地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:株式会社アマナ

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2026/04/24 10:30 https://markezine.jp/article/detail/50343