生成AIを「分析の武器」に変えるには?精度を高める3つの要諦
続いて宮崎氏は、最近マーケティングの業務にも普及している「生成AI」について、データ分析においてどのような振る舞いをするのか解説した。同氏は「分析に生成AIを使うことも増えてきたが、特性を知らないと失敗する」と警鐘を鳴らす。
というのも、生成AIは十分なデータがない場合、「経験則のような推測」「あいまいで一般的な回答」「ソースや事実に基づかない回答生成(ハルシネーション)」といった、不正確な振る舞いをする可能性があるのだ。情報が足りない分、学習データにある特定の傾向や文化的バイアスがかかった回答をすることもある。
これに対して、どのような対策をしたらよいのか。宮崎氏は、以下の3つのポイントを挙げた。
1つ目は「情報の具体化」。2つ目に「推測と事実の分離」。3つ目が「不足データの追加」だ。
「問いに対して、目的や背景条件をできるだけ具体的に伝えてください。その後、AIに不足点を指摘させてそれを補完することが重要です。また、事実と推測を分けて解答させることで誤情報を抑える工夫が必要です」(宮崎)
宮崎氏は「AIの力を引き出せるかは人のリテラシーに依存するため、生成AIを活用する側の人間にこそ、継続的な学習とリテラシーが求められている」と指摘した。
2030年に市場は5倍へ。東芝自らが実践する生成AIによる業務変革
今後、生成AI市場は、2030年にかけて5倍程度の伸長が予測されている。学校でAI教育を行う動きも見られる。生成AIの活用は、どの企業も避けては通れない道だ。
そんな中、東芝では活用が困難だった社会インフラプラットフォームのデータを分析するのに生成AIを活用しているという。インフラで発生するデータは各々固有かつ複雑で、従来はデータ同士を接続して新たな価値を生み出すのは難しかった。しかし、生成AIやAIエージェントといった技術がこれを可能にしている。データの連携によって社会課題の解決を試みているという。
東芝社内では、2024年5月からAI活用推進をはじめ、現在一日平均1.6回ほど生成AIが活用されるまでに浸透した。一人当たり月7時間の工数削減を実現しており、業務効率化の効果も見られている。
社内の文化形成が進んできたため、顧客へのソリューションにもAIを導入する取り組みも始まった。その一つの例が、工場のラインを安定して動かす「工程改善アシストパッケージ」だ。
半導体の世界では工場の停止が多大な損失になるため、エラーが起きた際の早い復旧が鍵となる。そこで、KPIの異常値をAIが検知し、原因を特定、対策をレコメンドするサービスを開発した。
従来はベテラン社員の“経験と勘”に頼っていた原因究明の作業を、AIの力を借りることで社員全員が推進できるようにした。これによって、工場のダウンタイムの解消につながる。

