主要SNSを活用する、ヤマト運輸の運用体制
――まず、現在のSNS運用体制について教えてください。どのような役割分担をされているのでしょうか。
柴:現在、X(@yamato_19191129)、Instagram(@yamato_transport)、LINE VOOM、YouTube(@yamato_transport)、TikTok(@kuroneko_mikke)といった主要なSNSを複数のメンバーで運用しています。
役割としては、銭が本社のInstagramとLINE VOOMを、渡部がYouTubeとTikTokを担当しています。明石は、全国にある主管支店のInstagram運用に関するアドバイザリーや、採用、特定のターゲット層に向けたSNSの開設支援などを担当しています。
――柴さんご自身はどのような立ち位置なのでしょうか。
柴:私はSNS運用の立ち上げメンバーで、これまでXを担当してきました。現在は他のメンバーに引き継ぎを進めている最中です。私たちのチームは非常にフラットな組織を目指しており、特定のアカウントに専任化しすぎるのではなく、ブランドの統一感を持たせるためにメンバー間で企画を相談し合う体制を大切にしています。
――皆さん、SNS運用を専任されているのですか?
柴:私と渡部はWebサイトの運用や管理、あるいはマスの宣伝広告、協賛対応といった業務とSNS運用を兼務しています。一方で、銭と明石はSNS運用を専任で行う体制をとっています。
EC急成長と顧客接点の変化。SNS運用を決断した理由
――ヤマト運輸さんがSNS活用を本格化されたのは2019年ごろだと伺っています。複数のプラットフォームで一斉に運用を開始された背景には、どのような目的があったのでしょうか。
柴:背景には、EC市場の急成長があります。宅急便の取り扱い個数はこの20年で約1.6倍に増えました。年間50億個、1世帯あたり月に3個は荷物を受け取る計算です。宅急便は生活に欠かせないものになりました。しかしその裏側で、強みである「地域のお客さまとの対面での接触時間」が配達の効率化によって減少してしまったことが大きな課題でした。
――配達量は増えたものの、お客様との接点が希薄になってしまったのですね。
柴:はい。2018年度の調査では、特に一人暮らしの方などから「心理的・防犯的に、(配達員とわかっていても)見知らぬ人と対面するのに抵抗がある」といった声も挙がっていました。コミュニケーションの強化が必要な反面、物理的な接触時間を増やすことは難しい状況でした。そこで「デジタルでコミュニケーションを取れるSNSこそが、この課題を解決し、親近感を醸成できるのではないか」と判断し、多面的なSNS活用をスタートさせたのです。
――SNS活用に慎重な意見もあったのではないでしょうか。
柴:たしかに業界では前例が少なかったですし、炎上の懸念はありました。しかし、コミュニケーションは文化です。コミュニケーションのトレンドがInstagramやYouTube、Xといった開かれた場になっているなら、当社も情報発信の体制を整えていくタイミングだと考えました。それが役員にも受け入れられ、社長を含めた経営層からも「やっていくべきだ」と合意を得ることができたのです。
