「WiiでYouTube」だけでは物足りなかった「Rimo」
株式会社はてなが、2007年2月に[鳴り物入りでリリースした動画サービスが「Rimo(リィモ)」。(プレスリリース:ネットの人気動画を抽出、エンドレスに再生「Rimo(リィモ)」リリース)

YouTubeの人気動画をテレビのように「ながら視聴」できる発想の面白さから注目を集めたが、自動残念ながら僅か1年半で、この8月末をもってサービスを終了する。(参考:動画サービス「Rimo」終了予定について)
日記やブックマークコメントを拠点に文字ベースで罵りあったり馴れあったりラジバンダリする典型的な「はてならしい」サービスに対して、Flashのコジャレたインターフェイスに、Nintendo Wiiもターゲットとした敷居の低さ、国際的な動画サイトYouTubeとのマッシュアップだけに英語版もと、どこを切っても「はてならしくない」とリリース当初は大いに話題になった。その「らしくなさ」は、サービス名からもドメイン名からも「はてな」を排除するほどの徹底ぶりだった。
しかし、リリースまでの経緯には実に「はてならしい」ところもある。
それは、開発者が「これおもしろそうじゃね?」とひらめいたアイデアが秀逸なら、「ビジネスモデルがなかろうがニーズが見えなかろうが作っちゃって公開してそれから考えましょう」という部分だ。開発者のイノベイティブを優先する「はてならしさ」があってこその「はてならしくなさ」とも言えるだろうか。その反面、開発者とサービスが密接に結びつき過ぎてしまう弊害もある。
終了のアナウンスで「専任の開発担当者が不在のため、不具合修正や機能開発などを迅速に行う事が難しい」と明記されている通り、Rimoを立ち上げた2名の主要開発者が昨年10月に相次いで退職すると、RimoはYouTubeの仕様変更に対応しきれなくなり、今年1月には正式サービスから実験サービス「はてラボ」に格下げされている。(参考:Rimoをはてラボサービスとしました。)
もっとも、リリースから半年後のリニューアル時点で「将来性について検討を行い、サービス開発の存続を含めた今後の展開を考える」とされているように、短期での閉鎖は織り込み済みだったのかもしれない。(参考:Rimo全面リニューアル:「便利になった新リモコン」「Rimo放送局開設で誰でもチャンネル作りに参加」)
1年半前ならWiiでYouTubeが見えるだけで狂喜のあまり小躍りしたものを、この1年間でネット動画をめぐる環境は大いに変わった。
なによりも国内ではニコニコ動画の大ブレイク。DoCoMoでiモードを指揮した夏野氏と2ちゃんねるのひろゆきが並んでフリートークを繰り広げるのを誰が想像しえただろうか? いまやiPhoneでニコ動を見ようという時代である。
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ウェブサービスは苦労して頑張って開発してようやくリリースできたところが終わりではなく、そこがまっさらのスタートなのであって、リリース後の技術の変化やユーザーニーズへの対応などリニューアルにリニューアルを重ねていかなければ、たった1年半で十分に時代遅れになってしまう。インターネットのドッグイヤーぶりを見せつけられるようでもあった。