バック・トゥ・ザ・246・ストリート(青山通り)
はてな社長の近藤淳也氏が第一子の誕生を自社サービスで世界に発信した今年の八朔、株式会社に・よん・なな・みゅーじっく(247music)は、音楽配信サービス「music forecast 247(mF247)」を8月末に終了すると発表した。(プレスリリース)

mF247は、1980年代に佐野元春やモッズ、大沢誉志幸、バービーボーイズ、ストリートスライダースらを擁した、当時としてはかなりロック色の強いレーベル「EPICソニー」を成功させた「ロックの丸さん」ことソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)元社長の丸山茂雄氏が、ちょうど3年前の2005年夏に立ち上げたサービスだ。硬直化したメジャーの音楽配信に、DRMフリーなMP3音源の無料ダウンロードでドロップキックを食らわせる画期的なサービスとして注目を集めた。
今でこそ、米国のティーン向けの大規模SNSサイト「MySpace」の成功で、音源の無料ダウンロードと試聴機能をFlashでページに埋め込めば、インディーズミュージシャンの活動拠点として十二分に機能することは折り紙つきだが、2005年8月といえば日本版iTunesストアがようやくオープンしたばかり。まだまだ音楽業界には音楽ダウンロードへの警戒感も根強い。
しかし、そこは音楽業界の顔役であり、過去にプレイステーションのようなビッグなプロジェクトも成功に導いた丸山氏のサービスだからこそ、両者の調整を上手くこなしつつ音楽ビジネスとしても成功に導いてくれるはずと期待されたが、期待ほどの成果は残せなかったようだ。日本のMySpaceとなる目もあったと思うのだが残念である。サービス終了を告知するカウントダウンバナーのFlashがとても重かったり、告知ページが文字情報まですべて画像とFlashだけで配置されているチグハグさが、このサービスを象徴しているようでもある。
ただし、単なるサイト閉鎖と異なるのは、サービス終了を「MISSION COMPLETE」と称し、極秘プロジェクトであるかようにステップ刻みで進行させていることで、なんと8月22日の第3弾発表では、事業を譲渡する意図が明らかにされた。しかも交渉相手をヤフーオークションで選ぶという。
すでに入札は始まっており(この記事が掲載されたころには終了していると思われるが)、ひろゆきまでがビットに参加する驚愕の展開になっており、近日更新されるという第4弾が気になるところだ。(参考:ひろゆき日記@オープンSNS。)
【続報ネタ】
「mF247」事業譲渡の優先交渉権をゲットしたのは、「ウッーウッーウマウマ(゚∀゚)」のCDなどを発売しているクエイクとなった。『「mF247」優先交渉権、落札者は「ウマウマ」CDのクエイクだった 1000万2000円でひろゆき氏をかわす』,ITmedia News
そもそも閉鎖の前段階として、6月23日にPC版での会員登録機能が削減されていが、その際には「mF247(PC版)のリニューアル(今夏を予定)」や「会員サービスはモバイルサイトに統合し、同サイトサービスの充実を図って」とアナウンスされており、7月11日には「iPhone」対応しているくらいなので、ギリギリまで自社(247music)によるケータイ向けサービスとしての生き残りが模索されていたようだ。(参考:【重要】mF247 PC版サービス一部廃止のお知らせ)
「mF247」事業の譲渡後も、247musicは音楽レーベルや音楽事務所として継続されるようであるし、このオークションの最中に配信開始された悪ノリなケータイサイト「加護ちゃんねる。」の運営も247musicだという。
247musicのサイトの「What's 247 Music」には、「247」の意味は「24時間×週7日」の意のウラに、「メジャーなレコード会社の多くが国道246号沿いに位置していることから、247 MUSICはそこから少し外れ」と書かれているが、意欲的な音楽配信サービスを切り離して、身軽になってまた246(青山通り)沿いへと戻っていくのだろうか。長い長い夏休みの自由研究が提出され、明日からまた通常授業がはじまる。夏の終わり 将来の夢 大きな希望 忘れない。最高の思い出を…。
国道247号(愛知県名古屋市熱田区~愛知県豊橋市)