ユーザーニーズを反映したSEMを
ほぼすべてのインターネットユーザーが行っているといわれる「検索」行為。その9割が1日1回以上の検索を行っているという。そうした状況下で「SEM(検索エンジンマーケティング)の価値はますます高まるばかり」と野上氏は語る。
その主な理由としては、「検索」に紐づいたマーケティングであることはもちろん、顧客ニーズに1対1で対応していること、さらに様々なデータが取得できることにある。インプレッションやコンバージョンといった数値から世の中の動向や顧客ニーズを捉えられる秀逸なマーケティングツールとみなされているわけだ。
「検索語」のマーケティングへの活用について、野上氏は証券に関する言葉を事例として次のように紹介した。ライブドアショック以降、「オンライン投資」「ネット株」というような検索語が減少し、「投資信託」などが増加した。
しかし、米国のサブプライム問題のせいか、最近ではそれに取って代わり「債券」などがじりじりと増えているという。消費者が投資の対象を世界へ広げ、一方で事件があるたびに確実性への指向を高めている様子が感じられるだろう。ユーザーがどんな気持ちで検索を行うのかを考え、検索の動向から新たなマーケティングの一手を考えていくことが重要だというわけだ。
短期的にはSEM/長期的にはSEO
また「クリック率」についても、リスティング効果をテストで判定していく上で欠かせない指標である。特にSEMの場合、検索用語で興味関心のふるいにかけられた、いわば「潜在的見込客」だ。
それをいかに獲得するか、そのためにはプロモーションのクリエイティブの効果をテストする必要であり、「クリック率」は、その指標となる。そしてSEMによって最適化されたものを、SEOなどに広く展開してくことも欠かせない。
そして、どんなにクリック率が高くても、コンバージョンにつながらなければ売り上げにはつながらない。そこで「コンバージョン率」を高めるための施策が必要となる。そのためには、検索語もクリック率も全体的に俯瞰しながら、週月年ごとにPDCAサイクルを回しながら最適化していくことが必要だ。また、時期や用語によってコンバージョンのピークがどこにくるかを把握することもプロモーションの重要ポイントだという。
つまり「検索語」「クリック率」「コンバージョン率」とも単独で効果を得ることは難しい。それぞれが連携しながら、効果をあげていくことが不可欠だ。また野上氏は、短期的施策として即効性がありテストが柔軟に可能なSEMを、そして長期的には低コストで安定的な効果が期待できるSEOをそれぞれ対策を行っていくことが効果的だと語った。
その上で、SEMなどの「集客手法」と、レコメンデーションによるサイト内流入後の離脱率低下、コンバージョンの向上など「効果向上」のための施策を双方から実施していくことが必要だという。